航海中の引き釣りと釣れたシイラの写真です

航海中は、よくスターンからケンケンを流しました。欲張って2本流す事も有りました。ハトの形をしたスプレーを作る物を針の前に付けたり、疑似餌そのものが泳ぐ物であったり、魚と人間の知恵比べです。朝とか夕方の食事時によく釣れた様に思います。真上に太陽が有る時は偽物と良く解るので、なかなか釣れませんでした。
これは、頭がスッキリしているので、海水で身体を洗った後の写真の様です。海水で身体を洗うのは普通の石鹸では泡がたたないので、海水石鹸かシャンプーを使います。シャンプーや台所洗剤は相当強烈なのかよく泡がたちます。そして乾いたタオルで完全に水気を切るまで拭き取ると、あの嫌なべとべと感は残りません。洗濯物も良く絞ってから乾かすと、カラッと乾いてべと付かず、気持ちの良い物です。
日本に帰る頃には髪の毛はベルトに触るくらい伸びていました。海では髪は短い方が良い様です。女の人は気の毒です。
コクピットの後ろには、いつでも流せる様にタイヤを付けたシーアンカーのでっかいロープが200メートル程積んであります。身体を洗ったり水を浴びたりする為のひも付きバケツも置いてあります。
魚を釣る為のラインを流しています。左に有る発泡体の浮きの様な物は、ラインを巻いてそのまましまっておける物で、ラインを出した時はその中央から出たロープでパルピットに固定します。そのロープが緩むくらいのタイヤチューブのショックコードをやはりパルピットに結んであるので、魚が釣れると、発泡体がショックコードいっぱいにビューンと伸びて、釣れたショックを和らげる様になっています。その上に釣れたかどうかを見るのにも、この発泡体の固まりは役に立ちました。釣れ出すと次々に釣れるので一匹釣れたら、それを食べ終わるまで釣らない事にしていました。でっかいマグロ等が釣れると最悪で、醤油漬、味噌漬で食べ終わるまで1ヶ月くらいは釣らない事になります。カツオくらいのサイズの物が最適でした。シイラは猫またぎ等と言って嫌われますが、白身で刺身でもホイル焼きでも美味しい魚でした。ハワイではマヒマヒと言って高級魚です。
シイラです釣れた時は綺麗な青色をしています。釣ってコクピットに取り入れたとたんに青や黄色や見る見るうちに色が変わって、しまいには灰色になって醜い魚になります。太刀魚等もそうですが、その生きている時のいきいきとした色は死んだ魚からは想像も付きません。
上のシイラもそうですが結構魚らしい形をしているものと、頭がストンと切れた様に絶壁頭の物が居ます。どちらかが雄でどちらかが雌だそうです。たいてい夫婦で居る様です。漂流物の下に付いた小魚等を狙って居る様です。
丁度食べごろのシイラの刺身です。一度に片身を食べるのは一苦労です。大抵は1人で航海に来た事を後悔しました。物を食べるのは沢山の人がわいわいガヤガヤ言いながら食べるのが良いですね。北太平洋では時化であまり釣れませんでしたが、南太平洋では欲しい時には幾らでも釣れた様に思います。畑のダイコンを引き抜く様な感じでした。それでも、他の航海者の話と比べると私の釣りはたいした物では無い様です。

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