102 10年先 (2005/07/12) 

私は30年と少しヨットに関わってやっとこの世界の先が見えてきたと思う。
海外の事はよく解らないが日本のヨット界に関してはやっと先の動きが見えるようになった。

ヨットの世界も例外ではなく世の中の動きに連動している。
かつてオイルショックやバブル期などまさに真っ先に影響を受けたヨットの世界
世の中が凹む度に真っ先にお客が寄りつかなくなる世界だ。

業者も育たないし造船所は製造を止めてしまった。
今はどん底の日本ヨット界だ。

年間に新規登録される新艇もこれが全国の数字なのと驚くくらい数が少ない。
日本は先進国と呼ばれる国の中でおそらくヨット遊びが一番下手な国だろう。

ところがである
今から先10年はヨットの世界も潤うだろうと私は考えている。
おそらくどの産業もがねらっている団塊の世代がヨットの世界にも入ってくる。

団塊の世代と呼ばれる人たちは今までの爺さん婆さんの金持ちと違い世界に目を向ける事が出来る人たちだ。
仕事にしろ遊びにしろ海外に出た事がある人が圧倒的に多い。

そこで見た物は優雅に帆走するヨットだろうとは容易に想像が付く。

何もない所から自分の働きで家を建て家族を養い老後の蓄えも作りさあ子供が働きだして仕事もリタイヤだとなったとき、
仕事をしている間はメダカ社会で隣と同じようにがむしゃらに働いてきた人たちも、
定年後は山に海に農園にボランティアに自由に活動を始めるだろう。

そして思い出すのは海外で見た優雅に走るヨット(ヨットは見て楽しむ物かもしれない、乗るとそれなりに奥が深く頭も身体も疲れます)
定年退職後はヨットだと決めた御仁も居るはずだ。

60歳近くになってヨットを始めようと言うのだから当然クルーザーからはいるでしょうね。
おそらくレーサークルーザーではなくクルージングクルーザーでしょう。
それも堅実な初心者なので冒険はしないと思われます。

最近言われ始めた一人で操縦出来るヨットをねらうと思います。(但しそんな宣伝文句の船で一人で操る事ができる船を私は知らない)

そんな新しいヨット乗り志願者に今のヨット業界は答える事が出来る物を持っているでしょうか。
全くお手上げ状態で日本はプロダクションヨットはヤマハでさえも手を引いたし
オーダーメイドのヨットもまともに作っているなと思える所を私は知りません。

今のところ少数ではありますがその世代の今からヨットをやりたいという人からの問い合わせが入り始めました。
おそらく70歳までは自由に動ける事を知っている世代なので今から10年はそんな動きが続く物と思われます。

そんなヨットの世界の動きを見てみるとバブル的にではなく今度は堅実にヨットも増えるだろうと思います。
安くて正当なサービスを受ける事が出来るハーバーも増やさないといけないでしょうし、
売るためでない本来のヨットを教える教室も必要でしょうし、
新しく参入する新しい指向のヨット乗りに対応する造船所も必要になるし、
もちろんそれらを維持するサービスもきちんとした物が必要になるでしょう。

一度バブルで吹き飛んでしまった物を応急適ににかき集めても高かろう悪かろうの世界では団塊の世代人は納得しないでしょう。

10年先には日本のヨットにとって一つの山が来るだろうと私は考えています。
おそらくそのころには私はヨットに乗る方に専念していてこの業界には居ないでしょうが
今までにない浮つかないしっかりしたヨット社会が出来上がる事を期待している。

金に飽かせてとか思い入れだけで買ったとか言うヨットは長く維持出来ません。
気軽に何時でも一人で出航させ安全に素速く手軽に帆走出来る船を多くの人は望んでいます。

賢い団塊の世代人よ未成熟のヨット界をより堅実で充実した次の10年後へと導いてやってください。

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