107 6.6メートルJOG (2005/11/18) 

7.8メートルの次は6.6メートルJOGを受注し取りかかった。

JOGというのはジュニア・オフショアー・グループと言い
小さいが外洋を走る為のクルーザーである。

軽くて丈夫で素直な走りの船をと言うオーナーの望みに答えるべく
船体はコールドモールド3層張りとすることにした。

発注したオーナーが今まで乗ったヨットはどれも一人では風上に立てておくことも出来なくてメインセールを上げるのも一苦労の船だったそうだ。
そこで賢明にも直進性が良くてハンドリングが楽だと横山さんが推奨するサバニ船型の船を選び6.6メートルの図面を買ったが、
同時に一つ自分でも作ってみようと13フィートのスパローを自作する事にしたそうです。

フレームを組みそれを船台に組み立ててキール材シアー材チャイン材と組み上げて現在は船体合板を張っていると言う知らせを受け写真を受け取った。
初めての自作で支援者も現れそれは楽しそうに作業をされている様子がうかがえた。

もう何年かで仕事をリタイヤしてそれからヨットに乗ろうと考えている人は沢山いらっしゃるでしょうが、
いざ実行に移す人は少ない物と思える。

その中でも木造の軽くて丈夫で手入れをすれば長持ちするウエスト工法の船を持とうとする人は又少ない。
ディンギーを造ってみてなお私にクルーザーを発注するというのだからよほど本気なのだと思える。

私は三男に手がかからなくなったら(後二年)ヨット作りは辞める事にすると考えている。
(花丸に乗るためのお金もないが時間の方がもっと切実に無くなってきている)

それで6.6メートルのオーナーは退職までにはまだ少し早いが 今発注することにしたと言うことでした。


何も付けないで欲しいとにかく軽くて早くて強い船が欲しいという注文に私はやる気が湧いてきて一艇作りには一番面倒なコールドモールド工法を選ぶことにした。
船体を作るのに外板厚み分小さい木型を作り(これが実際の船になるのかと知らない人は思う木の型)その上にエポキシ接着で木を曲げ付けて船体のかたちをした合板を作るようなやり方で、
最初のクルーザー萬丸を作った時の工法である。
圧倒的に手間がかかり大変だが それは軽くて強い船体が出来上がる。

二艇三艇と同じ船体の注文が有れば見合う工法だろうが一艇だけだとフレームがある船を造った方が簡単だ。
誰か6.6メートルJOGをもう一艇注文してくれませんか。
(同じ事をやるのが嫌いな私の冗談でもありお金の上では本気でもある)

何処でどうなってそうなったのか私が作る船は高いと思っている人が多いらしいが決して高くはない。
船価を決めるときに何もかも付けての値段か何もかもオプションにするかで30%から40%の違いが出る。

私の場合他の多くの市販されている船と違い何もかも付けての値段。
沿海の船検備品も付けての値段を出すのでみなさん高いと思うのかも知れない。

余りに懲りに凝って作業を進めている日替わり写真も高いと思われる原因かと思うが、
そんなことはありません。
プロの仕事の速さは圧倒的です。
早くてスマートにこなした仕事には価格以上の価値を見いだしていただけるでしょう。

私が愛媛県松山市のおよそヨットとは縁遠い田舎にこもって木造船作りの腕を磨いたのは
自分の「花丸」を作るためではありましたが、
もう残り少なくなった働ける時間を使って出来るだけ良い船を残しておきたいと思うのは普通のことだと思います。

先日ヨット作りで食べていきたいという感じの良い若者が工房を訪ねてきましたが、
働きながら技術を習得できる場所など日本には何処にもないからやめておきなさいと言うしか有りませんでした。

10年金儲けしないでヨットを造る技術を磨くことが出来たら一人前になるでしょうが、
その時に身に付いた技術が役に立つかどうかは保証の限りではありません。

6.6メートルJOG 本物のヨットはこれだと言うのを造りたいと思います。
この船もオーナーから快く日替わり写真の題材に使って良いという了解を得たので、
今までの7.8メートルのように毎日進み具合をお見せすることが出来ると思います。

6.6メートルJOGが出来上がったら後一艇で私のヨット作りは終わりにします。

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