114 航海計器 (2006/07/29)
電子航法について最近こんな凄いのがあるよと僕の小笠原にいる漁師の友人に説明すると、
今頃何言って居るんだ
漁師の世界ではもう海図を使わなくなって長いよと相手にされなかった。
(旧式の航法にこだわるヨットのりが好きだと言って慰めてもくれたが)
知らなかったのはヨット乗りで
天測をして海図に自分の位置を書き入れていく昔の航法の達人になって良しとし、
惰眠をむさぼっていた僕だけらしい。
最近日本に入港してくるヨットは
全く港の知識もなく誰に聞いたでもなく平然と地元の人でも難しい航路を入港してくる
これはどうなって居るんだろうとあちこちで知り合いになったヨット乗りが訪ねたそうだ。
彼らは全員C-map(世界中の海図が一枚のCDに収まっている)という電子海図を使っているという答えだった。
パソコンに電子海図を入れGPSと連動させて自分の位置を画面上に表示する。
と言うことはカーナビと全く同じで
海上には道がないので(コンビニも郵便局も寿司屋もカーナビほどの情報は必要ない)海の深さと海岸線と障害物を表示すれば
それで充分役に立つ。
どういう事かというと海図に昔は山立てをしたり天測をしたりして出した位置を書き入れながら航海していたのを
電子海図にGPSで得た非常に正確な位置を常に表示して何時でも見ることが出来る状態で航海すると言うことになった。
海難事故の多くは自分の位置を見失うことから出発すると思われるので、
これほど便利な航海計器は他にないだろうと考える。
僕は多くの海の友人に助けられてやっと電子海図を使えるようになった。
一度知ってしまうともう後戻りは出来ない。
今更 天測をしながらの航海も 目標物の角度を測りながらの航海も 出来た物ではない。
天測だといかに腕を上げても誤差は1マイルは免れない
しかも常に位置が出続けているわけではない。
電子航法の誤差は10メートル以内
おそらく今は大きな戦争をしていないので3メートル以内だろう。
GPSの精度は非常に良くなっている。
しかも欲しいときにずっと位置が出続けているというのは安全に大きく寄与する。
問題は海で電子機器を常に正常に働かせるための工夫だろう
塩分混じりの湿気はパソコンには良くないだろうし、
雷やその他のスパークの影響を受けることもあるだろう。
又、海では常に電気を保ち続けるというのがこれまた難しいことである。
いよいよと言うときに備え次の手 その次の手を考えておく必要があると思う。
しかしヨットの世界だけをとっても 世の中全く変わった物だ、
現在位置の出し方で職人技が必要なくなった今こそヨットを走らせる方に専念できる時代が来たと思う。
そう言えば他の面でもヨット運航のための仕事はどんどん簡略化されてる。
航海計器を動かす人間の方がついて行けていない様なおかしな時代になりそうだ。