120 横山サバニの直進性(2006/11/07)

2006年11月6日 6メートルJOG  「どんぐり7」進水4日目やっとまともな風が吹いた。

アンカレッジマリーナで下架してもらって直ぐに帆走で出航、
そよ風だったのが岸から離れると直ぐ風力は4(8メートル毎秒)くらいまで上がった。

フルメインとレギュラージブで艇速は4knotから5.5knot
舵はほとんど手放し出来る状態で
ウインドベーンの空中翼も取りつけたが直ぐに取りはずす。

オーナーは舵を持ちたがり僕は出来るだけ持たないようにしたがる。

横山サバニでは風力風向船の進行方向そしてセール面積セールの引き込み角度がぴったりと一致すれば舵は限りなくニュートラル(手放しで放っておくことが出来る)になる。

経験しないと信じられないだろうがたとえクォーターリー(斜め追っ手)の走りでもである。
他の船では考えられない不思議な経験をすることになる。

上の5つの条件の内ぴったりと合っていない物があると多少風上に登ったり落ちたりしながら、
それでも船自身が舵を調整しているかのごとく一定の方向を保った走りをする。

ウインドベーンをセットすれば
ほんの少しの力で舵はもっと機敏に船を直進させる方向に切れる。

それでも船型その物の持つ直進性が一番大切な要素です。

 

ヨットを操船すると言うことは舵にへばり付いて常に舵を動かし(船の行き足を止めるブレーキになる)行きたい方向を保つと言うことではない。
車やモーターボートのように舵を切って行きたい方向を定めるのがヨットの操船ではない。

体力の限りを尽くして舵を握り続けるのはヨット乗りとしては最低の仕事です。

知力と経験と技術の限りを尽くして上の5要素を一致させ舵を触らないで(ブレーキをかけないで)
ヨット を思った方向に進めるのが本物のヨットマンの操船方法だと思います。

 

それにしても何十年もヨットをやっているというヨットマンも一度も横山サバニの直進性を経験したことがないと言う人がほとんどなのです。
それくらい横山サバニは世に出ていないのです。

横山さんから図面を買って自作した人も作るのが好きで乗る方はいまいちという人も居ます。

サバニ船型の走りでFRPで量産されたノラシリーズも今や古くてまともに走っている船は少ない。

日本に浮かんでいるヨットの果たして何パーセントが横山サバニでしょう。
おそらく1%を切るのではないでしょうか。

全体量が少ない上にそれらのサバニ船型の船に誘われて乗る機会など普通のヨット乗りにはないのです。

ましてや手放し帆走を最高のヨットの乗り方と考える人に会う機会など皆無でしょう。

レースをすることがヨットに乗ることと言う人も居ます。
それはそれでよいでしょう。

レースをするのでもなく
ただただ一人でふらっと何処かへ行きたいと思うヨット乗りは沢山居ます。
遅くても良い セールを見上げて舵を握っているだけで幸せだという人も沢山居るでしょう。

しかし
僕のようにヨットで生活をしたい旅をしたいと思うと、
舵にへばり付くようなヨットの乗り方は出来ません。

直進性のある足の速い(船のスピードは安全に繋がる)
乗っていて乗員に出来るだけ負担の少ない
体力知力を温存して余裕を持って生活できる船でなくてはいけません。

横山さんが設計されたサバニ船型シリーズの
最後のグループの一つ(と言うことは最新のシリーズ)6.6メートルJOG「どんぐり7」に乗ってみて、
一段と直進性は良くなったと思いました。

 

帰航は クォーターリー
レギュラージブ一枚で桟橋に到達しました。

これで沿海の船検が降りればトラックに積み込み千葉まで運ばれます。
現図を書き始めてからおよそ一年 ひと仕事の終了です。

何の口出しもせずやりたいようにやらせてくれずっと一年間僕を支えてくれたオーナーに感謝!
ありがとうございました。

末永く「どんぐり7」を可愛がってやって下さい。

 

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