125 九州一周単独航で思った事-2(2007/08/03)

 

7月10日いざ屋久島を出航という時になって大問題に気が付いた。

ずっと長く梅雨前線の中にいたので船内サービス用のバッテリーがほとんどあがりかけて12ボルト以下になっていたのだ。

サービスバッテリーは2系統有るが両方ともディープサイクルバッテリーで電圧が落ちるとエンジン発電機からの充電がまるで出来なくなる。(エンジン始動は別系統のそれだけ独立させた普通のバッテリーを使用している)

曇りが続きいくら少ない電力で済むとはいえ冷凍冷蔵庫を付けっぱなしにしていたのでソーラーパネルからの充電が間に合わなくなっていた。

前の記事でも書いたように僕は今回紙のチャートを一枚も持っていない、
パソコンを立ち上げてC-map
を起動しないとチャートを見る事が出来ないのである。

12ボルト以下のバッテリー電圧だとDC-ACコンバーターがピーッと言う警報音を発して100ボルトを造ってくれない。

そうなるとバッテリーが古い僕のC-map専用パソコンは立ち上げて動かす事が出来ない。

さて困った事になったと思ったが出航を伸ばすわけにはいかないもうどうする事も出来ない「ボヌール」の後について出航だという事にした。

エンジンを始動させ外海に出ると直ぐに左クォーターバースの下にあるバッテリー部分をむき出しにして、
予備の電線を使いエンジンバッテリーをサービスバッテリーに直結させた。

そうしないとオートパイロットも動いてくれないし、
パソコンが立ち上がらないのでC-mapが使えず、

全くのチャート無しで危ない航海となる。

以降曇りの続く間はとにかくエンジンをかけたらエンジンが動いている間サービスバッテリーとエンジンバッテリーを別の線で繋ぎ、
エンジンを止めたら直ぐに外してエンジンバッテリーは独立させて次の始動に備えるという面倒なことをすることにした。

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いよいよ鹿児島県錦江湾入り口の山川港へ「ボヌール」の田中さんと猪股さんとともに「花丸」と僕も到着した。

その前に入り口近くになって僕たちを軽々と追い抜いた艇がいた。

屋久島の宮乃浦漁港に 僕たちと一緒にいて僕たちが出航した随分後から出航したと言う「ホーネット」の中村さんと石原さんだった。

スピードのあるクルーザーレーサーと言われる種類のヨットで、
ヤマハ33フィートだと聞いた。

やっぱりスピードのある船はクルージングにも良いなとその時つくづく思った。

「ホーネット」は先に入港して山川港入り口で釣り上げたという鰹をさばいていた。

「花丸」と「ボヌール」は後から入港して山川港の漁船溜まりの中に入った。

その日はホーネットの釣り上げた鰹でビールが美味かった。

 

そして、13日からから台風のための増し舫が始まった。

とにかく「ボヌール」はこれでもかと言うくらい太くて長いロープを持って来ている。

「花丸」はと言えば普通の近場のクルージングスタイルのままふらっと出航したので台風の事など考えていなかった。
そう屋久島に到達したら直ぐに出航してまあ2週間くらいの航海だなと軽く考えていたのだ。

ところが九州一周は結構距離があり単独航海では2週間はきつすぎた。

仕方が無くあらゆるロープを台風舫に使う事にした。

アンカーロープはアンカーを外してチェーンの部分を陸側に結ぶと擦れ止めを入れる必要がないのでかなり楽で信頼が置ける。

それを前後のメインロープとした。

そしてジブシートも擦れ止めをしてサイドから陸に取った。

最後に対岸の漁船まで舫ロープを繋いで引いた。
あまりに貧弱なのでもう一本欲しいと思っていたら「ボヌール」の田中艇長から16ミリくらい有る長い長いラインを
これを使いなさいと提供された。

思っても見ない嬉しい言葉だった。

いくらヨットは軽い方がよいと言っても日本でこの季節台風舫用のロープは積んでクルージングをするべきだと深く反省した。

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次の14日はいよいよ台風4号本番。
「花丸」の無事を祈りつつ民宿

[MOMO] (リンクを張りました)

で朝から焼酎を飲んでいた。



MOMOはなかなか御夫婦とも気持ちの良い民宿です。

山川港へ行くならお勧めです。
一泊素泊まり2000円。
今時そんなの有りかと思う値段です。

人事を尽くして天命を待つ

台風のさなかにヨットの所へ行って命を失ったという人を知っているので
朝から飲んだくれている方が気の小さい僕には似合っている。

気が大きくなり 心配も薄らぎ まあ何とか耐える事が出来た。

台風のさなかヨットの写真を撮りに行った「ホーネット」の中村船長から送られてきた写真を載せます。



何故か「花丸」の傾きが 中央の「ボヌール」や左端の「ホーネット」と違い浅いのです。

他の2艇は強風の度にマストを同じように傾けていましたが、
「花丸」だけは ほんの少し傾くだけなのです。

別にそんなに思うほど腰が強いと言う感じでもない軽い船なのですが、
マストの高さのせいかどうか強風でも非常に安定していました。

又しばらくしたら思い出しながら続きを書きます。

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