133 New Zealandへの航海 (2008/02/13)
出航前から航海中のオケラネットから上陸した国の人たちや沢山の人にお世話になった。
とてもお返しなど出来る物ではない。
皆さん本当にありがとうございます。
航海中と どこかに上陸した後は誰が考えても解るように全く生活が変わる。
航海中は航海の事に夢中になり、
上陸するとその国の事を少しでも知ろうと一生懸命になる。
僕はボートビルダーであり乗り手でもあるから航海中の多くの時間を理想のヨットの事を考えて過ごす。
「花丸」が理想のヨットだったのは僕が30歳くらいの体力も気力もピークの頃だ。
今では大きすぎると思っている。
動けなくなるまで出来たらヨットに乗っていたいので、
もう少し軽くて一人で自由に扱える船が欲しいと思うようになった。
「花丸」も一度港を出たら航海をする上では全く問題ないサイズだが、
港の出し入れが風が吹いていたりすると今の年なら何とかなるが歳をとったら一人ではだんだん難しくなるだろうと思う。
リタイヤ後いきなり40フィートを超える船を買って航海に出ているカップルを見かけるが
ほとんどの場合クルーを雇っている。
雇っているクルーの都合で動いていてオーナーの思うがままというのは見かけない。
僕は一人で扱える素直な船で一番楽なサイズはどのくらいだろうとずっと考えた。
金に糸目は付けないとしても28フィートくらいがよいのではないかという結論に達した。
船のスピードは航海の安全や積荷の多い少ないやあらゆる事に影響を与える。
そのスピードは水線長でほぼマックススピードが決まる。
√水線長(feet)×1.2というのがその計算式です。(その船の持つ水線長速度という)
25フィートの船の水線長速度は √25×1.2=6knot
30フィートの船の水線長速度はおよそ6.6knot
40フィートの船の水線長速度はおよそ7.7knot
その建造コストは3フィート水船長を伸ばそうと思うとおよそ倍になる。
何故かというと船の容積が倍になり、
仕様材料もおよそ倍になり、
建造時間も2倍には跳ね上がる。
そうしてみるとほんの1knotスピードを増すためにとてつもないお金を出さないといけないというのが解る。
そして大きな船ほど動かすのにも維持するのにも放物線状に手間も金もかかるのである。
僕が理想の一人乗りの船だと考える28フィート以下の水線長をもつ船だと(最近の船は直立バウでほとんど船長が水線長という船が多い)
およそ6.36knotの船体速度を持つということになる。
28フィートの容積だと有り余る水と食料を積んで
充分何所にも立ち寄らないで太平洋を渡る事が出来るスピードを出す事が出来る。
そしてその重量はWEST工法で作れば2.5トン以下に押さえられる。
積荷を満載にしても3トンそこそこだと言うのは非常に扱いやすい船だという事だ。
その上横山サバニの持つ直進性に優れた舵に触らなくてもずっとコースを維持してくれる船だと航海中の疲れが全く違う
たとえウインドベーンやオートパイロットを使ってコースを保つにしてもその船体の持つ直進性は圧倒的に楽な航海を約束してくれる。
「花丸」を走らせたのは僕一人でだが今回の航海は連れ合いも乗った
航海に関してだけ言えば24時間交代でワッチをしたので安全性に置いて格段に安全だったと思う。
一人では12時間ワッチがやっとなので本船を見る機会も半分だし
運搬船から落ちた大きな丸太を見る機会もほとんどない。
今回は「花丸」よりも長い大きな丸太を2本も見た。
ほんの近くをすり抜けた。
とたんに流れ物に付くシイラが釣れたりした。
出入港以外はウインドベーンに舵は任せっきりである。
あまりに風がない時はオートパイロットを使ってゆっくりと機走したりもした。
セールがバタンバタンと音を立てながら横揺れするのには耐えられないからである。
と言う事で自分だけの力で乗っている間メンテナンスから何もかもやり港への出し入れも楽で世界中何所へでも行ける船は28フィートくらいのサイズで
軽くて扱いやすい横山サバニのヨットだなと考えた。
ひっくり返ったら二度と起きないと言う事をのぞいてトリマランやカタマランにもまたもや興味が湧いてきた。
30年前に南太平洋で沢山の軽くて早いカタマランを見て以来です。
但しこれらは設計者により船の性能に著しい差があるそうなのでその辺から研究する必要がありそうです。