142 C-map (2008/09/24)

C-map (Electronic Chart System)

「 ECSはプレリリース版で市販はされておらず大型船舶を対象としています」と言う電子海図

使い始めて3年、
本州一周、九州一周、そしてNew Zealandへの往復航海でしっかり使い込んだ。

2000年以前のチャートで少し古いところもあり航海以外に使うのは問題がある場合もありますが
港の入り口から港の入り口までの航海には何の支障もない。
瀬戸内海もこれを使って縦横無尽に走り回ることが出来る。

真新しい紙のチャートでもまさか知らない港にチャートだけを信じて真夜中にGPSの位置を記入しながら入港するというような船は居ないと思う。
そんな無茶な事をしなければ充分使えるチャートです。
(僕は花丸の停泊港柳原港を除き必ず明るい時を待ちどの港へも目視で入港する)
(長期航海の末 夕方薄暗くなって入港したい港の前にたどり着いても、焦る気持ちを抑え沖で翌日の朝まで待機します)

ニュージーランドにサイクロン避難で集まっていた南太平洋周遊中のヨット達はみんなと言って良いくらいC-mapで航海していると言っていた。

インストールは英語ですが英語圏の人たちでも皆さん手こずったようで、
パソコンに詳しくない人は人にやってもらったというのがほとんどだった。

だからもしも問題があった時のことを考えパソコン・GPSは2台以上という返事が多かった。

僕はC-map以外では全く使えないWindows パソコン(Mac派です)、
それも中古機だから友人に今度の航海用にもらったものも含め4セットも持っていった。


30年以上前の太平洋一週航海、
その後25年前のハワイ往復 後のグアム往復等の航海は全て天測をして自分の位置を知る航海でした。

太陽や月や恒星の水平線からの角度とその角度を測った正確な時間で自分の位置を知ります。

4秒時間が違うと1マイル(1852メートル)の誤差が出るような位置出しですから、
現在のGPSのような正確な位置はとうてい望めません。
(人工衛星を使うGPSの原理は太陽や月や星を一気に利用する天測と同じです)

僕は朝と夕方 水平線と星達が見えている10分ほどの間に 一度に5個くらいの恒星を計り
位置の線を5本も同時刻に交わらせて位置を出していたので ヨットでの天測とは思えないような正確な位置を出し続けていたのですが、
それでも1マイルの誤差は天測ではどうしようもない誤差でした。

1マイルの誤差というのは船の長距離航海では全く問題にもならないような誤差なのです。


処がGPSと連動させたC-mapでは朝夕だけでなくずっと数秒置きに電子海図上に数メートルしか誤差のない自分の位置を表示し続けてくれます。

そのことが外洋帆走に全くのヨット初心者を気軽に出かけさせてくれるようになったのではありますが、
夜間 電子チャートとその中にプロットされたGPSの自船位置だけを信じて知らない港にけっこうな速力で入港するとんでもないヨット乗りが現れました。

そんなヨット乗り達の事故例を聞くにつけ何でも道具は使い手次第だと思うのです。

C-map & GPS という組み合わせの素晴らしい自船位置を知る為の道具も万能ではありません。
その弱点も知った上での運用が望まれます。

あまりにも正確な位置表示のためランドフォー(長い航海の末初めて陸地を見ること)の感動も薄れてしまいました。


C-mapもレーダーも測深計もありです。
もう後戻りは出来ません。

しかし、飛行機や車のように秒を争うと言うことはないにしろヨットでも自分の目によるワッチがいかに大切かそのことを肝に銘じておきましょう。

C-mapを利用したより安全な航海を心がけてください。

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