144  どんなヨットが良いヨットか?ー2 (2008/11/17)

海の広場の最初に書いた「どんなヨットが良いヨットか?」という永遠の課題をもう一度まとめてみようと言う気になった。

但し僕が考える良いヨットには○○○という但し書きが要る。

1-三角レースには出ない、(元々ヨットとは一切の目的を持たない船だから好きに走ればよい)
2-ターンを繰り返し相手を押さえ込むアメリカズカップのようなレースにも全く不向き、
3-舵から手を離しても何時間も直進する、
4-艇が軽くて波に船首を突っ込まないで波の上に乗りデッキを常にドライに保つ、
5-引き波がきれいにまとまり造波抵抗が少ない、

6-舵から長時間手を離せるのでセールトリムを全て一人でゆっくりと出来る、

等の条件を満たすヨットが良いヨットだと僕は考えます。

上の二つは競争をしないと言うことで決して遅い船が良いと考えている訳ではなく正反対に速い船がよい船だと僕は考えている。
早いと言っても無理矢理多人数で船を押さえ込んで人と争うのではなく
一人で楽にのんびりと細部にまで目を行き渡らせながらその海況に合わせた最高の走り状態に難なく持っていける船が良い船だと思うのです。

直進性が非常によいヨットがあることを何十年乗っても何万マイル乗っても気づいていない人は何時までも気がつかない。
船型による直進性の良さというのに気がつかない人は一生気がつかないまま古参ヨット乗りとしてヨット乗り人生を終える。

気がついた僕は声を大にして言いたい。

良いヨットとはセールトリムだけで 手放し直進性に優れ乗り手の腕にあった大きさ・軽さで余裕を持って一人で操船出来る船。
しかも造波抵抗も摩擦抵抗も少なくデッキに青波を上げないで速くて乗り心地の良い船。

そのくらいの性能条件は最低限備えていて欲しいと思う。


その上で作りがよいこと。

又ここでもどんなのが作りがよいかと言うことになるのですが、
先ずは強度でしょう。

波にたたかれて壊れたのではどうしようもないが、
出来るだけ軽くて、出来るだけ丈夫というのが壊れにくい船と言うことになります。

昔の船のようにドンブラコ・ドンブラコと大波に体当たりして波をかき分けかき分け進むような船は、
衝撃が大きいのでそれに打ち勝つために益々丈夫で重い船にならざるを得ません。

反対に最近の船は出来るだけ軽くて丈夫という方向でファイバーグラスのヨットはだんだん薄く出来上がってきました。
それでもFRP船には薄さの限界があります。

フニャフニャと歪むことによって薄くても壊れにくいファイバーグラスの船にマストを支える動いてはいけない部分があるので
どうしても単板のFRP船は重くなるのです。

ファイバーグラスの船をそれ以上軽く造ろうとすればサンドイッチ構造の非常にデリケートな雑な扱いでは長持ちしない船になります。

同じ重量の船で新世代のエポキシ接着で出来たトリプルプランキングの木造船はファイバーグラスの船より圧倒的に丈夫で軽くて歪まないのです。
シングルプランキングやストリッププランキング工法で出来た昔の船はどうしても重くて弱い船になります。

普通の体力の人が一人で操船出来る最大でも総重量3トン以下の船
ハードスポットのない 部品取りつけ以外に全くボルトやビスを使わない 完全な接着工法の船
おまけに圧倒的に強度を増すためのエポキシフィレットが至る所に採用された船

そんな木造船が最高の作りの船だと僕は思います。

最高の性能で最高の作りの船と言うのが究極のヨットだと僕は考えます。

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