155 「天城」レストア-2 (2009/12/31)

「天城」のレストアが始まって4ヶ月ほとんどそのことにかかりっぱなしの毎日が過ぎている。

趣味も遊びも仕事もヨットしかない僕にとっては趣味のようでもあり遊びのようでもあり仕事のようでもある楽しい毎日だ。
繰り返しの作業や体力勝負の仕事など苦しいこともあるがまあそれは良しとしよう。
とても難しくてどうやったらよいか解らないようなこともずっとそのことばかり頭に置いて考えていたらそのうち良い解決方法が見つかる。

レストアという古い船を蘇らせる仕事は部分的な修理と違い一から新艇を造るのと同じくらいの技術が要求される。
修理して前の通りにする部分と、
40年も前の技術ではもう手が打てないので最新のエポキシを使っての修理に切り替える部分もある。

いずれにしても僕がまだヨットの世界に入って居ないくらい前の古い造船技術を見る機会に恵まれたことは大きな収穫だった。

一枚板のケヤキから一つ一つの形を切り出し継ぎ足していく切り出しフレームやビーム等、
良い材料と腕がなければ出来ない仕事だ。

二層の外板も間に固練りペイントを塗った和紙を挟みリベットでかしめてある。
とんでもない労力を注入した船だと解る。

電動ドライバーは有ったかと思うが、
インパクトドライバーではなくクリックボールやポンプドライバーという手でねじ込むドライバーを使ったはずだ。
僕はエアードリルとエアーインパクトドライバーを使うので労力も1/10くらいか、
昔の人は辛抱強かったのだろうなあと思う。

ちなみに僕の手のひらには家大工さんや昔お世話になった船大工の頭領のような豆がない。
豆というかタコというか足の裏の様な堅くなった皮がなくて まるで女性の手の平と変わらない柔らかい手なのです。

元々遊び人だから頑張って苦しい仕事を続ける事ができない。
だから繰り返しの苦しい仕事に出会えば何とか工夫して楽なやり方を考え出す。

出来るだけ手仕事を避け機械でやれるところは機械でこなす。
頭が働かないで腕ずくで苦しい仕事をやり続けたら直ぐに手の平に豆が出来て破れ痛い思いをする。


今までの4ヶ月の内3ヶ月くらいはほとんど部品の取り外しや悪い部分の取り除きに使った。

後の1ヶ月は船体の腐った部分の補修だった。

左船尾部分の雨漏れが酷かった所はフレームや外板内側の板が腐っていたので、
フレームを取り外し外板内側をエポキシ接着してその後フレームの新しいのを造ってエポキシで固定した。

右舷船体の上から5段くらいの外板がボロボロに腐っていたのを取り除き
そこにも新しい外板をエポキシ接着と木ネジ(フレーム部分)の併用で入れた。

ステムや船尾フレームの腐った部分も入れ替えた。

年末には外板を全てフレームに新しいステンレス木ネジで止めつけるという最後の船体補強もやった。


同時進行でエンジン・プロペラシャフト(カップリング)・燃料タンクのエンジン関係

船首からデッキを張るための下地フレーム止めつけなどを進めている。

ドッグハウスビームは積層ビームにしたのでヒーターを使いながらのエポキシ接着で部材作りの仕事をこなした。

待ち時間を使って コクピットに張るチーク材の製材とシームの切りかぎも済ませた。


さて今からは古いところはみんな取り払ってある部分の製作だ。

図面とオーナーの意向を確認しながら出来るだけ早く出来るだけ丈夫で出来るだけ美しい船に仕上げなければならない。

来年も「天城」レストアで思い切り遊べそうです。

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