160 シングルハンドヨット 2011/01/18(2011/03/05更新)

沢山の人が乗ってルールの中で早さを競う一部のレーサーを除くと多くのヨット乗りは自分一人で又は友人数人と気楽に安全にヨットを走らせようと考えて居る人がほとんどだと思います。

一番多いのは目立たないシングルハンドが基本のヨット乗り達だと思うのです。

ところが今シングルハンド仕様と歌っている船で本当にシングルハンド向きの船があるでしょうか、
まあ僕に言わせればシングルハンドには全く向かない船にジブファーラーを取りつけ・メインファーラーを取りつけ・オートパイロットを取りつけた大型ヨットなど、
およそ恐ろしくてシングルハンドでなど乗れない船です。

何があってもみんなが注目していて連絡すれば直ぐに助けに来てくれるレース艇とは違い、
何処へ行くとも決まらず気ままに遊んでいるクルージング艇など誰も助けに来てはくれません。

シングルハンドヨットは何が起きても自分の腕と知恵で問題を解決して安全な港に入ることができなくてはいけません。

何にでも丁度良い加減というのがあると思います。
好い加減とは面白い言葉です。

ダンプカーや長距離トラックのような大型の車やサーキットを走るレーシングカーのような車で公道を気軽に毎週のようにドライブしようなどと思う人は少ないでしょう。

やはり普通のヨット乗りがシングルハンドで気軽に出航できる丁度良い加減の船というのは存在すると思います。

船のサイズもシングルハンドヨットの目安です。
僕の「花丸」は32フィート(9.6メートル)ですが外洋では良いとしても国内の日帰りクルーズなどにはシングルハンドで操るには既に大きすぎです。

岸壁や桟橋に船を留める時に一人の力で軽く留められること、
風に吹かれて押しつけられても一人の力で押し戻して船体と桟橋の間にフェンダーを挟むことが出来る事、

昔10年近く乗ったノラ21(6.3メートル)は必ず土日に乗っていましたが強風の日も無風の日も一年中出港し続ける事が出来たのは、
その小ささに助けられてでした。

それでは小さければ良いのかと言えばそんなことはありません。
小さい船でもなかなか直進せずずっと舵にへばりついて操船しないと目的の方向へ進まないような船は1人ではどうすることもできません。
船体形状から来る基本的な直進性能があり セールを上げたり・縮帆したり・入港準備をしたりと言う少なくとも5分くらいは手放しで直進してくれる船でなければなりません。
オートパイロットを使っても直進性の良い船はオートパイロットの負担が軽くて済みます。

僕が今考えているのは船長8メートル前後の 軽くて(2トンくらい) 直進性が良くて 信頼置けるインボードエンジンを持ち ジブファーラーがあり オートパイロットとウインドベーンを備えた 丈夫な船です。

丈夫であると言うことと軽いと言うことは相反するようでもありますが材質により作り手により随分軽くて丈夫な船を作る事が出来ます。
たとえばFRPの船でもハイテクボートでなくてもきちんとハンドレイアップされた船は樹脂含有率が少ない軽くて丈夫な長寿命の船を作る事が出来るのです。

世界同時不況前に大きいことはよいことだとばかりにヨットの大きさもどんどん大きくなりましたが、
今では大きすぎて1人では扱えないクルーの居ない船が出航できないでマリーナに繋がれたままになっています。
そんな1人で扱うには大きすぎる船を見るにつけシングルハンドで扱える船が必要だなと思うのです。

もちろんメーカーもディーラーも利益の薄い  今では少し小さいなと思われるシングルハンドヨットが多くのヨット乗りの狙い目だなと解っているので、
大きな船・直進性の悪い船にオートパイロットやジブファーラーを取りつけてシングルハンド向きなどと宣伝するのです。

体力や技量の差もあるでしょうが いくら能力がある人でも扱えるギリギリ一杯の大きさの船に乗るよりも一人の人間が完全に掌握できる人間に合ったサイズの船に乗る方がゆとりが生まれヨット遊びそのものを楽しむことができます。

僕が考える日本から出ないが毎日でも乗る事が出来るシングルハンドヨットをヨットの全長平均が9メートルを超える大型艇になった今だからこそもう一度考えてみる時だと思います。

ヨットを買うと言うことは海に浮かぶ小さな小さな穴蔵を買う事だと言った人が居ます。
それにしては高価な穴蔵です。
人間が使うのですから人間のサイズに合った穴蔵を買えば良いでしょう。

6メートルから10メートルくらいまでのヨットでは1メートルサイズが増すごとに容量が倍になり船の重量も倍になり船価も倍になります。

(2011年3月5日 下のようなメールをHさんから受け取りましたので添付します)

「6メートルから10メートルくらいまでのヨットでは1メートルサイズが増す
ごとに容量が倍になり」
ですが、「体積(容積)は長さの3乗に比例する」ことからすると、6メートルの
長さに対応する体積が倍になるのは、およそ7.6メートルとなります。体積が4倍
になるのはおよそ9.5メートルになります。体積が倍になる際の計算式は以下です。

 長さが6、幅が6a、高さが 6bの直方体の体積Vは216ab。
 長さ・幅・高さがそれぞれr倍になったとき、直方体の長さ・幅・高さはそれぞ
れ 6r,6ra,6rbなので、体積V'=216r^3ab(r^3はrの3乗を表す)。
 V'がVの2倍であるとき、
 V'/V=r^3=2
 ∴r=1.2599・・・
 ∴6r=7.559・・・

僕は感覚でものを言うところが大いにあります。
気をつけないといけませんね。


必ずヨットの技術を持った人が何人かで乗ると言う船なら問題ありませんが船を買うのはたいてい一人です。
自分一人で乗れる船を買いお客を呼んで遊ぶと言うのが普通でしょう。

皆さん自分の技量と体力を知り本当の意味のシングルハンドヨットを選びましょう。

それではどの船がよいのか現在量産されている船の中でこれという船を教えて欲しいとよく言われます。
しかし、残念ながら僕は今のところこの船がお勧めだと言える船を知りません。

僕に資金的な体力が有れば損得抜きで本当の意味のシングルハンドヨットを世に問いたいのですがどうもそれは見果てぬ夢のようです。

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