164 ヨットの整備  2011/11/13

ヨットは進水した直後から整備が始まります。

車などと違い自分が必要だと思うものがみんな全て揃っている船というのはありません。

それほど人によって使い方が違うと言うことでしょう。

ああしたいこうしたいとそれぞれの人が自分の乗り方に合わせいろんな事を考えます。
実際に乗ってみてここはこう不都合だったのでこう変えようと言うので変えていく分には問題は起こりにくいです。

本当にどんな乗り方をするかだけで整備すればよいのです。

しかし、人はその上にこんなのが理想だと夢を追いかけます。
それだけではなく理想のヨット像を夢見て現実からだんだんかけ離れたヨットになっていきます。

それも含めて理想と夢と現実の間を行ったり来たりしながらどんどん変えていきます。

 

又定期的な整備もあります。

船体では長くても1年に一度は船底塗料を塗ります。

最近ではセルフポリッシングと言う 走れば水の流れで船底塗料そのものが溶けて表面にフジツボや海草を付けない様になって居る船底塗料を使います。

プロペラシャフトやプロペラなど動く部分にはペラクリンと言う商品名のブヨブヨしたシリコン状の物を塗り動かせばそれに取り付いたフジツボや海草がとれる物を塗ります。

勿論その時にプロペラシャフトに取り付けた防蝕亜鉛を交換します。
スルハルや舵金物やバラストなどの金属部分の電蝕も点検しないといけません。

 

エンジンの整備もメーカーが薦める定期的なオイル交換や冷却水点検やファンベルトの点検などやるべき事は山積みです。

燃料の油水分離器や燃料フィルターの点検も怠れば洋上ではどうにもならないようなエンジントラブルの原因になります。

プロペラシャフトのコックボード点検やシャフト防水(グランドパッキンやPSSシール)の点検もやらなければなりません。

エンジン本体の防蝕亜鉛も定期的に交換します。

 

マストやステーやハリヤードなどはヨットに乗る度に目には入っていますが、その気になってじっくりと見なければ見落としたら大変な事故に繋がります。
これらも気がついた危険箇所はすぐに整備する必要があります。

 

船体・エンジン・マスト関係などを整備してもまだまだやらないといけないことは山積みです。

船にとって唯一のブレーキであるアンカーの整備も怠ってはいけません。

勿論 舫の設備や舫ロープも重要です。

ナビゲーション設備(コンパス・スピードメーター・測深計・等)の整備も常について回る仕事です。



その上にヨットでは海上での生活があります。
衣食住を理想的に保つだけでも誰の助けを借りる訳にもいかないのだから普段から必要な物の整備は大切です。

コンロ・水道・トイレ・等は洋上でどれ一つ不具合になってもヨットの旅は非常に困難な物になります。

 

と言う事で全く見てくれを考えない僕の「花丸」でさえ帆走している時間と整備の時間は半分くらいずつかなと思うくらいです。

整備をする時間も楽しめる人でなければヨット乗りとは言えないでしょう。

終わりのない整備に 終わりのないシーマンシップの追求に 喜びを見いだせたらなと思います。

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