165 カタマラン Tiki21  2011/11/29

天城レストアが始まる寸前に大阪の藤田さんという人に譲って頂いたカタマランTiki21、
2年あまりも工房の東にある通路に放ったらかしにしたのであちこち不良箇所が出来た。

どうしても一度自分で舵を握ってカタマランの走りを経験したいので修理する事にした。

最初は塗りが剥げかけている箇所の塗りをしっかりとやればよいなくらいに考えていたが、
それでは済まないくらい腐っている箇所が見つかった。

エポキシを使い腐っている箇所を取り除いては新しい材料で修理していく。

塗りも低粘度エポキシを塗ってそれを荒らしてから白色ウレタンを塗り重ねた。

さていよいよ左右の船体とその他の部品の整備が終わりいよいよ組み立てを考える段階に来た。

図面を見て組み立て方法を検討するが、
これが何とも楽しい図面なのです。

古いポリネシアの海を航海しているような感覚になります。

きっと設計者のJames Wharramさんはポリネシアンカヌーを意識したはずです。

二つの船体を繋ぐのにボルトナットなどを使いません。
全ての部分が細いロープを何重にも巻き付けた縛りで組み立ててあります。
ポリネシアではココヤシの繊維で結ぶところでしょうが、
図面はラニヤードロープのような化学繊維の細いロープになっています。

帆走方法や船台の作り方や組み立て方まで細かく指示をした挿絵まで付いています。

製作技法はステッチアンドグルー工法で全く素人向けの何でもない工法なのですが、
よくぞここまで工夫したなと言う面白いところがあちこちに見られます。

結局一番この船を楽しんだのは設計者かもしれません。

それにしても簡単に出来るので南太平洋では同型船を沢山見かけます。
バヌアツにはTiki30とTiki26とTiki21が有りましたし、
ニュージーランドにもTikiはあちこちにありました。

性能の方は乗って見ていないので解りませんが僕が修理したTiki21は大阪から沖縄往復の航海実績がある船だそうです。

25歳の時フランス領タヒチの造船所で40フィートクラスのカタマランを作っているのを見ました。

トリプルプランキングという工法で軽くて丈夫なカタマランでした。

そのスピードにあこがれて一度カタマランかトリマランでかっ飛ばしてみたいと夢を見た事があります。
バラストがない、浸水面積が少ない、軽い、殆ど傾かないとヨットにとって良いところだらけのような気がします。

毎日出港して毎日入港すると言うような近場の航海には向かないでしょうが、
何週間とか何ヶ月もの間ノンストップで走るような航海には広くて傾かなくて直進性もありきっと向いているでしょう。

昔の夢よもう一度と言いたいところですが、
カタマランやトリマランの長距離航海が出来る様な船を知りません。

日本ではあまりに例が少なすぎです。

他の船に乗るのは大好きなので機会があれば今後カタマランやトリマランにも乗って見たいものです。

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