179  座礁そしてバラスト周りの修理 2013/06/06

ミラベル375という37.5フィート大阪のヨットが瀬戸内海の瀬戸大橋下にある与島(坂出市)北側で座礁した。

航海に使っているGPSプロッターには座礁した部分の浅瀬が乗っていない。
多分航海には使うなと書いてある様なGPSプロッターで海図はお絵かきのようないい加減なものだっただろう。

当然紙の海図も沢山積んで併用しているが事故を起こした部分の詳細なものは無かったようです。

そしてこの船にはオートパイロットが無かったと言う事は何時も操船出来る人が一人舵にへばりついていたと言う事である。
当然一人や二人の航海では体力も知力も短い時間で消耗する。
荒れていない平穏な海での機走でも海図のチェックやワッチがおろそかになる。

僕が言いたいのは舵を操るなどと言う機械でも出来る仕事は機械に任せて頭脳に当たる判断を人間がやるのが良いと言う事です。
コンパスをじっと見つめて一定のコースを保つのは機械の方が人間よりもずっと上手なのです。

今や天測をすることや山立てをしたりする地文航法も全てGPS任せになっている。
何故かというと趣味の世界は別にして機械がやれることは機械に任せようという方が航海が安全で楽しいものになるからです。
おまけに天測や地文航法の位置の線から導く現在位置よりもGPSが出す位置の方が圧倒的に正確です。

チャートはCM-93の様に紙のチャートと遜色ない精度の高い電子チャート上にGPSの位置測定機能で自船位置を出すc-map等の航海ソフトを使う事が大切です。
その上での人間の覚めた判断が船の安全を守ってくれます。


座礁の原因は解ったのですがさて修理となると大仕事です。

座礁した船はそのまま口をぬぐって売り抜けるとか、
保険をかけていたら全損にして新しい船を買うとか、

修理をして乗り続けると言う手もありますが、
完全な補修には相当な費用がかかります。

今度の船は余りにダメージが大きくバラストを外さないと仕事が出来ないのでマストも抜かないといけません。、
それだけでなくバラストの上に重量を中心へ集めるためにエンジンがありそれも取り外す必要があります。

そのエンジンはセールドライブなので先ずエンジン屋さんにドライブ部分を外してもらう必要があります。
ドライブとエンジンを外しておいてドライブから先に船外に吊り出さないとエンジンを吊り出すことが出来ません。

それが終わったらいよいよバラストを取り外します。

これが大仕事で以前にも座礁したらしくてバラストボルトをFRPで巻き込んでしまうような改悪補修をしていますのでそれを取り外さないといけません。

船底内側には船の縦方向と横方向に床板を受けて平らにするためと補強のために仕切りが入っています。
これらも全部切り落としサンディングをしないと船体面には手が届きません。

エンジンベットも含めたそれらの補強も樹脂とガラスが外れて白化という現状がありFRPの裂けた所も有るのでバラスト周りは全て取り除きます。

バラストに船体重量を預けて上架するとバラスト周りが力なく凹むと言う現状が見られるので、
バラスト周りは完全にFRPの樹脂とガラスが剥離して白化しているものと思われます。

白化部分をサンディングして落とすまでが直しに入るまでの大仕事です。
口で言うのは簡単ですがこの暑い時期の船内にこもってするサンディングは考えただけでも地獄です。


その後いよいよビニエステル樹脂(船体を作る為でなく二次接着に使用する普通の樹脂より接着性の高い高級樹脂)を使って積層です。
船内補強材も白化したところは擦り落としてちゃんと補強の役目を果たす強度にしてから元に戻します。

全て終わったらバラストを元に戻してボルト止めし、
外からフィレットを付けます。

そして
エンジンとドライブを積み込んでエンジン屋さんに固定して動くようにしてもらいます。

マストを立てて下架すればできあがり。

目標は8月末を目指します。
考えただけでも気が遠くなるような大仕事です。


皆さん座礁しない様に気をつけて安全航海で海を楽しんでで下さい。

中古の割安船には呉々もご用心
座礁した船を口をつぐんで買わされたと文句を言っても始まりません。
実際にそんな例を知っています。

見る目が無い人はちゃんとしたサーベイヤーを入れると良いでしょう。

中古船は割高感のある船をちゃんとした人から又はまともな業者から買いましょう。

割高感のある船には買ってから後 何もかも付いているのでお金がかからないという実際的なメリットもあります。
新艇を買う時は何が付いているかリストアップしてあるのでそのことを気にするでしょう。
割高感のある中古艇方が本当は得なのだと言うことを知っておかないといけません。

次から「海の広場」はこの船の修理を段階的に取り上げます。

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