181 バラスト周りの修理-3 2013/07/03
仕事は出来るだけ沢山全く違う物を受けている方が時間の無駄が無くて良い。
1つが何かの原因でストップしても別の仕事がやれるので助かる。
その代わり常に頭は全体を考えて何かあれば次の手が打てるようにしておかないといけない。
「K&K2」も同じ大阪泉大津から修理で来ていたが今日下架して泉大津に里帰りする事になった。
後はミラベル375バラスト周りの修理以外にアンカレッジ・マリーナ発注の仕事と、
Y−15mark3の仕上げが残っている。
雨の日や同じ仕事が続いた時の気分転換や今やっている仕事に問題があった時の為にもう一つくらい小さい仕事があると良いなと思う。
さて衝突の衝撃で力が無くなったバラスト周り修理ですが、
船尾側から床板受け兼ハット補強の船底内側補強FRPインナーを切り出しています。
バラストの上にエンジンベットとエンジンドライブ穴メインテーブル受けなどを一体にしたインナーが入っているのでこれらを切り刻んでは元通りにならなくなる恐れがあります。
この部分だけは一体で外に出せるようにカットして切り離さないといけません。
カットサンダーでエンジンベット周りを切ったのですが、
送排風機でカットの粉を吸い出しながら気の遠くなるような作業でした。
衝撃で接着が外れて居る部分は簡単なのですがそれでも引っ付いているところがありこれがカットサンダーの刃が届かない部分もあるのです。
硬いケヤキで大きな矢を作ってきてサンダーで切った隙間に矢を打ち込んだり、
自作のFRP専用ノミを打ち込んだり、
仕舞いには土木で使うしょうせんという鉄棒を隙間に入れてこじ開けたり、
暑い船内でFRP用の風を通さないつなぎ服を着ているものですからたまったものではありません。
丁度良いダイエットにはなりますが、
あまりの汗に夕飯の時には塩っ辛いものが欲しくなります。
1つ嬉しい誤算はバラスト後ろの部分 大阪のレール船台で船を上架している時にぼっこりと凹んでいた所、
殆どFRPの剥離現象が見られません。
ガラスに樹脂を浸透させて固めてあるFRPは強い衝撃や極端な曲げで白化というガラスと樹脂の剥離現象が起きます。
そうなるとゲルコート側から見ると何処も悪くない様に見えて全く力は無くなっています。
修理は白化部分を削り取って二次接着用のビニエステル樹脂を使って積層をやり直すことが必要です。
ポリエステル樹脂と違いビニエステル樹脂は高価で扱いが難しいのですが接着力はポリエステル樹脂よりも圧倒的に強い。
見た目では解らないのでか二次接着にはビニエステル樹脂をと言うのを知らずにか二次接着をポリエステル樹脂でやる所も有りますが、
修理の強度を出す二次接着には必ずビニエステル樹脂を使います。
今度のバラスト修理想ったよりも白化部分が少ないのです。
では何故船体バラスト後部が凹んだのかというと、
船体外板を船内側から補強してあるハット部分が8割方剥離していたことによると想われます。
バラスト前側船体には確実に穴が開いて白化している部分が有ります。
この部分は白化した部分を削り取って内外から二次接着積層をしないといけません。
バラスト後方部分は1メートル角位白化していると想っていたのがそうではなくてバラスト後端のドライブが船体から外に突き出たほんの小さい部分の白化のようです。
ドライブを船底に出す穴はエンジンベットと一体になっていますが、
この部分の樹脂とガラスが剥離したのでドライブを元の位置に固定する力が無くなりドライブはバラスト側に寄っていました。
走行中にバラストを岩に当てる様な衝撃を受けた船はバラストの前部と後部がやられます。
前部はバラストで下向きに大きな力がかかりこの船のように船体が口を開けたりします。
後部はバラスト後端で上に向かって持ち上げる様な力がかかります。
バラスト後部は船内補強のハットがはずれたので全体が白化するような事にはならなかったようです。
1つの疑問はバラストを留め付けたボルト・ナットの頭をFRP積層してある点です。
普通はそんなことはしませんがもしかしたら新造船の時にボルト・ナット頭をインナーハルと一緒に積層するような設計になっていたのかも知れません。
そう思うのはインナー床受け兼補強ハットを積層接着した部分、
船体に積層した部分だけが剥がれないでもの凄く丈夫に接着されているのです。
その接着力は二次接着ではありません元からの積層のような気がしています。
又は今回以前にもバラスト周りの修理が行われその時に面倒だからとボロ隠しの為にバラストボルト・ナットもビニエステル樹脂で積層した可能性もあります。
次の段階で補強の為のハットを二次接着した部分で船体に積層した所をサンディングで落とすかはつり取って見れば解ります。