182  バラスト周りの修理-4 2013/07/14

バラスト前後 衝突の衝撃でFRPが破壊され穴が開いたか もしくは白化というガラスと樹脂が剥離する現象が有ると思われる部分はみんなサンディングしてみた。

所が穴はおろか白化も殆ど見られなかった。

大阪に見積もりの為現状を見に行った時にバラスト前方に空いていた穴は実はバラスト周りを取り付け後に巻き込んだ二次接着が外れて大きく口を開けた穴だった。
てっきりこのバラスト前の穴から海水が船内に侵入しているものだろうと思いオーナーさんは想いきりシリコンを詰め込んで船を下架して松山まで走って来られた。

「何処から海水が入ってきているのですか」と言う僕の質問に

「何処か特定できないがインナーモールドの下からわき出ている」という答えだった。

そのはずです。
本当にバラスト前後には全く穴も開いて居りません。
実は船内に海水が入っていたのはセールドライブのドライブを船外に突き出すための穴の底が船体と外れ亀裂が入りそこから浸水している状態でした。


元々シャフトドライブの船だったのをどういう理由かセールドライブに替えています。

バラストの上にエンジンを載せる設計の船です。

インナーハルと一体のエンジンベットを切り取り、
新しくセールドライブのエンジンベットとドライブを船外に出すための穴が一体になったものを古いエンジンベットの中に埋め込んでいます。

内側からの積層は無理なのでハルとの接着面にはパテを入れ、
外側から主に二次接着積層で持たせてありました。

ところが接着用のパテは船底に届いていないところが多く、
新しいエンジンベットを留めた二次接着は殆どの部分で亀裂が入りエンジンベットが動いたことを物語っています。


ヨットの走りを良くするために重量物中央集中の原則に従い、
重いエンジンをバラストの上に据えるというのが流行りました。

ところがバラストというのは船体から下に突きだして暗礁などに一番当たりやすい部分です。

だからでしょう今ではバラストの上にエンジンを固定するやり方は廃れています。
新しい殆どのヨットがバラストはバラストで独立させその後方にエンジンを取り付けてあります。

おそらくシャフト船にしてもセールドライブ船にしてもバラストの上にエンジンが載っていて座礁したらエンジンとドライブは大きな損傷を受けるでしょう。

特にセールドライブ船では今回のように前からのバラストへの衝撃でバラスト後端が持ち上げられ、
ドライブにはエンジンとドライブを引き剥がそうとする大きな力が加わります。

まともな施工がされていたとしても船体に穴を開けてドライブシャフトを船外に突き出す部分には特別大きな力がかかるでしょう。

パテが船体とくっついて居らず二次接着も穴の周りほんの数センチというやり方では座礁すればセールドライブの海水が入っている穴が船体と外れるのはあたりまえだと思われます。


今回のバラスト周り修理工事もやっと折り返し点にさしかかりました。

バラスト前後のインナーハル補強を切り外して船体を内外からサンディングし船体の穴や白化を見たのですがどちらも問題有りませんでした。

それでバラスト中央部分きちんと付いている右舷から左舷に通った2本の補強は切り外さないことにしてバラスト取り外しは止めました。

最近の船のようにシーカフレックスでバラストと船体が密着している様な事はないのでボルトを抜けば簡単に取り外す事は出来ます。
昔のハマタイトという二液混合のシーリング材が入っていました。

バラストを取り外すと言う見積もりですが、
不用な作業は取りやめです。

バラストを取り外して又取り付けたとしても工期は2日とは変わらないでしょう。

バラスト取りつけボルトの頭をパテを入れて接着積層してあるのは最初からの施工のように思います。
ボルトの回り止めとバラストボルトからの海水の侵入を恐れたためでしょう。


エンジンベット亀裂を2日に分けて裏側から増し積層補強して、

さて今から切り出した補強材を船内に固定する作業にかかります。

この暑い時期の船内積層作業は人間性無視の地獄です。

2ヶ月前には68キロだった体重が毎日の大汗と重労働で今は64.5キロまで落ちました。
夏やせ等したことがない僕です。

多少はダイエットにつながるかも知れません等と前向きの思考で行くしかありません。

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