188 不名誉の負傷 2013/11/10
僕の左手と右手です。
およそ大工の手の平らしくはありません。
全く握りタコや皮膚の分厚くなったところが無いのです。
古い船大工の棟梁の手はまるで足の裏の様に堅かった。
出仕事では電動工具・工房内ではエアーツールが主役となり、
ハンマーやポンプドライバーは殆ど使わなくなりましたので手にマメなど出来ないのです。
そんな柔な左手 指全てに火傷を負いました。
すぐに2時間ほど冷やしたのですが12箇所も水ぶくれが出来ました。
先週「花丸」に乗っていてだんだん強くなる追っ手の風に 調子に乗ってリーフの判断を誤りました。
登りの風だと船の進みと向かい風で風が実際よりも強く感じるので早めにリーフします。
しかし、先週は出港時は真横からの風ででフルメイン・フルミズン・ジェノアジブも展開して快調でした。
ところがだんだん風が後ろに回りミズンセールを降ろしそれでも6ノットくらいで調子よく進んでいたのです。
風が強くなっていくのを感じるのが遅すぎました。
気がつくと白波が立ち10ノットを超えるようになっていたのです。
ローリングが激しくなり棚から何枚かの皿が床に落ちる音がしました。
これは駄目だと観音開きにしていたジェノアジブを巻き取る為にタックを返しメインセールの影に入れようとしました。
ジブシートを摑んでクリートを解きウインチから外そうとしたとたん左手に激痛が走りました。
ジュッと焼ける音も無く煙も上がりませんでしたが まるで真っ赤に焼けた鉄棒でも握ったのかという熱さでした。
一気にジブシートが滑り出したのです。
皮膚の表面が焼けて白く変色してヒリヒリします。
すぐに冷えたビールを摑んでくるくる回し冷やしにかかりそのまま入港後も氷で冷やし続けたのですが水ぶくれが沢山出来ました。
その内の3箇所は水疱が敗れて今でも真っ赤な新しい皮膚が出ています。
ジブセールを巻き取った後入港するまでの最高速度はメインセールだけで12ノットを超えていました。
危なかったです。
こんな事はヨットに乗り始めて2回目だと思うのですが、
およそ30年ぶりの不名誉の負傷です。
快調に走る追っ手の風こそくせ者です。
細心の注意を払いリーフの時期を誤らない事が大切だと身に染みて解ったつもりです。
このくらいの負傷で済んで良かったと思います。
でもきっと又懲りずにやるんでしょうね。
連れ合いはバヌアツの入港時も大きなスコールが来たのにリーフが遅れ怖い思いをした。
豊後水道でも台風だというのにメインセールをリーフしないで追っ手の風でそのまま突っ走り恐ろしい思いをしたと言います。
僕は嫌なことはすぐに忘れてしまう良い性格のようです。