190 オートパイロット 2013/12/20

僕はやることなすこと極端だと僕のことをよく知る友人に言われる。

GPSが小型で安くなりヨット乗りの手にも入るようになった時も、
天測が一番だ。
あんなのは天測の確かめに使えば良いと言っていたそうだ。

ドジャーなど軟弱ヨット乗りが取りつけるもので、
潮をかぶり顔中が塩田のように塩まみれになって眉毛から塩を振り落としながら前を見ているのが本物のヨット乗りだ。
と今では考えられないようなことを言っていたという。

オートパイロット等という電気で動く物が海でずっと使えるわけがない、
そりゃあウインドベーンが良いに決まっている。
と言ったとか言わないとか。

そんな僕が今では電子チャート上でGPSの位置情報を頼りに航海をする。
ドジャーが無いようなヨットに乗れるかとずいぶんな変わり様だ。

オートパイロットに至っては予備も積み込み必ず使える体勢で居る。
今やオートパイロット無しでの航海などほんの二三日でも嫌だと思う。

事実大阪までの航海でオートパイロットの調子が悪くなったときも友人に無理を言って淡路島まで彼のオートパイロットを持ってきてもらい取りつけた。


そんなオートパイロットについて最近僕が理解したことを書いておこうと思う。

僕が使って居るのはST2000というRaymarineという会社が出しているもので日本でも買う事が出来るが値段が高いのでたいていはウエストマリンなどの通信販売で買う。

何所で買っても同じ物が来るのだから安い方が良いに決まっている。
日本で売っている半分くらいの値段だ。

ところが一つ問題がある。
それは電気製品だからか 作りが悪いから かこれが良く壊れる。

中の電子基板が壊れたら普通の人は先ずお手上げで保証期間中なら良いがそれを過ぎているときは有償で電子基板を取り替えることになる。
生活必需品ではないので一つ一つの部品がべらぼうに高い。

おまけにアメリカとのやりとりで送ったり受け取ったりしないといけない。
たいていは嫌になってあきらめるそうだ。

極端な例だが片腕のセーラー米子さんは「エミュー」というヨットで単独大西洋・太平洋を渡って日本に帰り着くまでに何本ものオートパイロットをだめにしたそうだ。
最初から予備の予備の予備の予備の予備と言う事で一抱えもオートパイロットを船に積み込んだという。
「片方の手は船のために、もう片方の手は自分のために」と言われる帆船の世界で腕が一本しか無ければオートパイロットは必需品だったでしょう。

僕が昔「鷗盟」という25フィートのヨットで太平洋を一周したときはオートパイロットもウインドベーンも持っていませんでした。
自転車のタイヤチューブをティラーに縛り付けて舵を取っていました。
セール面積とセールの角度と行きたい方向がマッチすればそれでも大まかに言えば真っ直ぐ進みますが、
ウインドベーンやオートパイロットを使っている船の1.5倍くらいは余分に走ったと思います。


シングルハンドやショートハンドのヨット乗りにとってきわめて大切なオートパイロットを出来るだけ壊さないように長持ちさせる方帆を列挙しておきます。

① 先ずは物理的に直射日光や雨風に当てないこと。

そのために上にコンパスコースの表示が見える窓を付けたカバーをかけています。

安上がりでお勧めは台所の天ぷら油が壁に散らないようにコンロにまわす銀紙で長四角の底の抜けた箱を作り、
デジタルコンパスコースの部分に透明の下敷きを切り抜いて貼り付けるとできあがりです。

下の部分は必ず抜けていて熱気がこもらないようにしないと真夏には熱くなったモーターの熱がこもりオートパイロットのプラスチック部分が溶け落ちてしまいます。

② 次は舵を取るプッシュプルロッドを出し一杯・引き一杯にしないこと。
(隣のヨットのオーナー隅田さんに教わりました)
これはストッパーが付いていないので限界まで出したり引いたりするとモーターや基盤に無理がかかります。
航海が終わって収納するときもロッドを一番短いところまで引っ込めてから収納していたのを止めました。
中間くらいまでロッドが出たままで収納します。

③ オートパイロットへの配線にブレーカーを入れる事。
(これは過負荷の警報音が壊れて鳴らなくなったという野中さんに教わりました)

12V5アンペアくらいのブレーカーが良いのではないかと思います。
イエローハットやオートバックスに売っているそうです。


④ なおその上に予備のオートパイロットを持っています。

今ではオートパイロットは体力を温存して航海の安全を保つ為に是非とも必要な長距離航海のアイテムだと考えるようになっています。

 

是非オートパイロットを大切にして安全な航海を・・・・

機械的・電気的修理が必要で放ったらかしのオートパイロットをお持ちの方は是非相談してください。

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