198 外洋航海中の珍体験-9(英語で叫ぶ)

僕が26歳の5月 太平洋一周航海もいよいよ終盤 Guamから日本に向かって航海中でした。

いきなり早口の英語で喧嘩をしている声が聞こえました。

単独航海のつもりなのに知らない人が僕の船に乗っていると勘違いしてコクピットに飛び出しました。
キョロキョロ周りを見渡しても誰も居ません。

夢の中で自分が英語で叫んだのでした。

気がつくまで少し時間がかかりましたが考えてみると日本を出発してサンフランシスコに着いて以来ほとんど日本語を使っていません。
1年10ヶ月の航海でしたので1年半くらい英語で過ごしたことになります。


その間メキシコやガラパゴス等のスペイン語圏もありました。
マルケサス諸島やツアモツ諸島やタヒチ島のあるソサエティー諸島の様にフランスが統治しているフランス語圏にも滞在しました。

でも外国からの出入港が出来る港では英語が通じます。

スペイン語などは挨拶と買い物に必要な数字くらいしか覚えませんでした。

だから1年半のほとんどを英語で会話をし英語で物を考えていたような気がします。


僕は元々勉強が嫌いで努力が嫌いでほとんど勉強机の前に座ったことがない人生です。

勉強嫌い努力嫌いは天測を知らないで出航してサンフランシスコに着く頃には出来る様になっていたと言う事からもいざ必要に迫られるまで何もしないと言う僕のやり方です。

天測ではヨットではちょっと珍しい朝夕の星測をして誤差1マイルという本船並みの位置を常に把握するまでになっていました。
やり出すとちょっと凝り性の所もあります。

中学校から習い始めた英語などこれが何の役に立つのかと思うと同時に全くやる気が出ず、
ずっと大学まで英語は赤点続きでした。

でもヨットの航海では英語が必要です。
仕方無くではありますがだんだん話せるようになってきました。

普通の日本人の英語は書ける読めるが話せないという人が多いと思うのですが、
僕の場合話せるが読めない書けないと言う幼稚園並みの英語です。


そんな僕の英語も長く使わない内にさび付いてさらさらと出てこなくなりました。

次の航海に備え英会話の勉強を始めることにしました。

日本語を喋ってもそんなに多弁ではありませんが普通に意思疎通が出来るまでにはなりたいと思って居ます。

僕がiPodからイヤホンを耳にしているのを見たら英会話の勉強をしているのだなと思って下さい。

英語を聞き流しているのではありません。
日本語で英会話の勉強をして居ます。

良い教材を見つけました。
出航までにあと一年と少しです。

それまでには英語で元通り喋ることが出来る様になります。

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