2000/9/28 ヨットのサイズ

 サイズを決めるのは大切な事です。それは値段や安全性や快適さに直結する事だからです。それにしても多くの人が未だに大きい事は良い事だと言う様な感覚を持っているのには驚かされます。ヨットでは大きい事が悪い事に繋がる事の方が圧倒的に多いのです。大きい船の良い所は沢山の人が乗れる。沢山の荷物が積める。水線長が長くなる程早い。大きい程揺れがゆっくりしている。大きい程ステータスシンボルとしての評価が上がる(どうでもいいけど)。まだ有るかも知れませんが思い付きません。さて小さい事のメリットは全くその反対で、船体が安い。保管料が安い。大きい船に比べて扱い良い。何処の港にでも入っていけるくらいでしょうか。


 最近のヨットの平均長さが30フィートくらいだと聞きますが30フィートの艇を自由自在にどんな状況下でも操れるという人にはめったにお目にかかれません。何でも無い凪の日ばかりでは無いのです。全てを掌握してあらゆる状況でその船の持つ最高の性能が自分だけで最大限引き出せるヨットがその人にぴったり合ったヨットです。大きなサイズに影響されて、出航したい日に出られなかったり、一人では走らせたいスピードが出せないのでエンジンばかり使ったり、誘いたくも無いクルーを誘うはめになったり、高い保管料を払ったり、小さくて素朴な漁村に入れなかったり、私が知っている範囲では、自分に合わないサイズの船であるばかりに殆どが機走でクルージングをしていると言う人をよく見かけます。それならヨットでなく漁船かモーターボートでスロットルを落として走れば安全に相当な距離を稼ぐクルージングが出来るだろうと思います。


 小さい事が全てよい事だとは言えませんが、多くの人が先ずヨットのサイズ選択で大きな間違いを犯している様に思えてなりません。目的にも依りますが基本は自分一人でその船を目的通りに扱いきれるかどうかと言うのがサイズ選びの基本だと言うのが私の考え方です。大きすぎる船を歳をとって体力が付いていけないからと、小さいサイズに買い替えた素晴らしいヨット乗りを知っています。それがヨットと海と自分を知っている本当のヨット乗りだろうと思います。

海の広場に戻る

homeに戻