200 瀬戸内海


毎日見ている瀬戸内海は素晴らしい海です。

直ぐ側に居て他に比べる所がないので瀬戸内に面して暮らしている多くの人はそんな事を毎日感じている訳ではありません。

美味しい魚がいっぱいで季節によって色々な種類の海の幸を味わう事が出来ます。
人々は温暖な気候のせいかのんびりしていてヨットにも親切です。

僕が行った事があるヨットには最高の楽園と言えるようなAhe島(太平洋の環礁島)も瀬戸内海には及ばないでしょう。

有名な外洋ヨット乗りがパスポートを破棄して住み着くほど美しい環礁で出来た島なのですが、
別荘と同じで動かないし何時も同じ人たち(人工40人)と接して居る事になる。
お金も通用しない。(良い面も悪い面も有ります)

瀬戸内海なら毎日でも移動する事が出来る。
全ての漁港にも入港する事にすれば瀬戸内海を巡るのにおそらく1年以上の時間が必要でしょう。
急流にもまれた小魚は美味しいし人間はおおむね純朴です。

瀬戸内海なら離島と言ってもヨットのスピードで都会へ半日もかからない距離にあります。



瀬戸内海はぐるっと陸地に囲まれ沢山の島に恵まれ風が強くてもほとんど波らしい波は立ちません。

台風の時は別ですが天気予報で波高1メートルと言ってもせいぜい50センチメートルも無い日が普通です。

ヨットは風は欲しいが波はない方が良いのです。

ヨットにとって嬉しくないのは夏の無風です。
関東のヨット乗りが瀬戸内に来て「無風です」と言ってもあちらではいくら無風と言っても時々そよ風くらい有るし大丈夫少しは走るだろうと思うようです。
ところが瀬戸内海の無風は本当に無風で暑いだけなのです。

海面は鏡面仕上げの鏡のように顔が写ります。
そんな無風の時間が何時間も続くのです。

瀬戸内海夏のクルージングに必要なのは潮の流れを読む事としっかりしたエンジンです。


しかし、夏の無風ばかりではありません。
秋には安定したまだ暖かい風が吹き始めます。

それが瀬戸内のヨットシーズンの始まりです。

暑い夏はオーニングの下エンジンで走り島の温泉に入り日陰で冷やしたビールを飲み寝っ転がって本でも読んでいるのが最高でしょう。

秋になれば風が吹き始めるのです。

冬場はあちこちに島があるのに風が強くていけません。
外洋のように何もしないでワッチだけしておればよいと言うわけには行かない。
それなりにリーフをしたりセールの角度を目まぐるしく変えたりのんびりというわけには行きません。

最後に春から夏の初め、丁度梅雨の今頃はどうかというと、
船には困りものの霧が良く出ます。

ひどい霧の時には眉毛に付いた霧が露となってしたたるというような事もあります。

そんなときには船首パルピットも霧で見えなくなります。

出港見合わせですね。
最初から霧なら出港しませんが、途中で霧がかかってきたらどうしようもありません。

何とか最寄りの港に逃げ込むか
浅瀬にアンカーリングして霧が晴れるのを待つか
レーダーを頼りにおそるおそる走るか

その時の状況に寄るでしょうが僕なら最寄りの港で待機ですね。


現在修理しているヨットは韓国のヨットです。
日本で買って韓国へ回航中に釣り島水道の当たりで当て逃げされたのだそうです。

当て逃げは日本人船乗りらしくない最悪のやり方ですが、

とても霧深い日の夕方20:00くらい
豊後水道や下関から集まってきて船が大阪に向かい・大阪から下りの船が集まる一番船が集中する本船航路です。

あの昼間でも緊張する本船が集中する航路を霧の夜に走るなどヨットとしては命がけの行為です。

目的を持たない船というのがヨットなのですから安全には最大限の注意を払わないといけません。

予定航路の近くでいざという時に入港できる港を先に当たっておく事も大切だろうと思います。

今花丸のレーダーアンテナを回転させるベルトが外れてレーダーが使えません。

真剣に「花丸」の整備をします。

海の広場に戻る

homeに戻る