206  28フィートが良いなあ

ヨットに乗るなら28フィートで3トン以下のヨットが良いなあという結論になった。

32フィートの「花丸」に3日間乗って話し合ったのは
「萬丸」オーナーだった橋本さんと
「蝉丸」オーナーの添田さんと
「花丸」オーナーの僕の3人。

3人とも60歳そこそこで、殆どの場合一人で乗るか数人の極近い友人と乗る。
人と乗る場合も操船出来るのは自分だけと言う事が多い。

そんな具合だから他の船と早さを競うレースは全くやらない。

綺麗な船室で沢山の友人を招いてドンチャン騒ぎをしたいとは思わない。

しかし、毎週でも時間があればヨットに乗りたい。
何処か遠くの知らない港に行ってみたいという考えは何時も持っており次は何所へ行こうかとチャートと天気予報を見ながら考えている。

着いた港では風呂に入り美味いものを食って一杯やりたいなと思う。


丁度 瀬戸内海で乗っている時なので余裕も時間もあり3人ともどんな船がよいかなあと言う話になった。

 

僕の「花丸」を横山晃さんに設計して頂いたのは体力も知力もピークの30歳くらいの頃だった。
すぐに作って又次の航海に子供二人を含む家族と一緒に出ようと考えていたので大きい船になってしまった。
(その後松山に帰って3人目の真君が誕生した)

ところが実際に「花丸」が進水したのは僕が53歳にもなってからだ。

最初は力尽くで船を押さえ込んで走らせるような走り方も出来たがだんだん体力が衰えそれは出来ないと言うか怖くなってきた。

諸先輩ヨット乗りを見ているとおそらく70歳くらいが一人で誰にも助けられないで自由にヨットを操れる限界かなと思う。
しかも 大きい船=重い船 では体力が付いていけない。

大きい船は風による風圧も大きく動き出したら慣性の法則で一人の人力では止めることが出来なくなる。

船も人と同じであまりにも大きいとか重いとか
長さの割合に 軽過ぎる・重過ぎる と言うのは問題だ。
一人で普通のクルージングに使うヨットには適正な重量というのがあるように思う。


3人が好き勝手なことを言い合って結論として出て来たのは28フィート「瀬戸壱丸」位が一人乗りでは一番良いサイズではないだろうかという事になった。

船はサイズによってスピードが決まる。(水船長速度といいます)

23フィートの「萬丸」はおよそ6ノット
26フィートの「蝉丸」はおよそ6.5ノット
28フィートの「瀬戸壱丸」は最高機走速度7.5ノット
32フィートの「花丸」は最高最高機走速度8.2ノット

セーリングだと機走よりは早い走りが得られますが
あまり早いと危険を感じます。

一人で走らせるのだから舵を持ったりしないで舵はオートパイロットに任せもっぱら船長の仕事をします。
舵を持っているのは操舵手で船長ではありません。

だから帆走でも機走時くらいの速度だと安心して走らせることが出来ます。

と言う事はこのくらいの小さいサイズの船では少々船長が長くても速度はそんなに極端には変わらないと言うことです。

速度というのは航海範囲と関係してくるのですが、
遅い船はその分早く出航し遅く入港すれば遠くまで行く事が出来るのです。

元々セーリングが好きなのですから走っている時も楽しく過ごせるヨット乗りは「風任せ」などと言ってスピードは気にしません。
2ノットを切り船首方向が保てなくなるとエンジンをかけると言う事が多い。


では何故28フィート・3トン以下のクルージングヨットなのかというと、
70歳まで一人で乗るのに丁度良いサイズだろうと思えるからです。

インボートエンジンで7ノットくらい出て
1ヶ月くらいの航海荷物が積め
折りたたみ自転車も積むことが出来

設備が整っていない漁港などへも楽に大きさを気にせずに入っていけます

まかり間違って太平洋を渡ろうと決心した時にも28フィート単独航なら余裕です。

と言う事で3人のヨット乗りは28フィートがシングルで70歳まで乗れるベストのサイズだという結論に達したのです。


一人瀬戸内で毎日毎日出入港を繰り返すような航海には「花丸」はちょっと大きすぎ・セールがガフ ケッチで煩雑・直進性がありすぎです。
「花丸」はやはり初期の目的通り外洋クルージングのためのヨットなのです。

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