214 仕事(塗り) (2016/07/24)
仕事としての木造ヨット造りは面白いものです。
図面を買ってきて材料を集めるところから始めます。
広い現図場で原寸図を引きどれくらいの材料がどれほど必要かを知ります。
木の板を買って来て自分が必要なヨットの材料に製材する所から始まる。
何も無い所からどんどんヨットの形が見えてくるのは実に楽しいものです。
僕がヨット造りを楽しいと感じる最高の時です。
船体が出来上がりデッキや内装にかかると自分がヨットを操縦して海に乗り出す様子を思い浮かべながらの作業でアッというまに時間が過ぎ頭も体もフル回転になります。
木部が出来上がってしまうと船内外の塗りにかかります。
塗りは船の寿命を延ばすためで美しく見せるためではないと僕は思っています。
塗りの前のダイニール加工やガラスクロスライニングはもっと船の寿命を延ばす事になります。
それでも最後の紫外線を遮る塗りは必ず必要です。
ところがその塗りをする為の研きや塗りそのものは僕にとっては楽しくない仕事なのです。
どうしてなのでしょう
塗りに入ると何だか力が抜けてしまい本気になれません。
だからいつまで経っても仕事としての塗りは一流にはなれないのです。
研きは 特にやったのかどうか解りにくい仕事です。
塗りも色が付いて紫外線を遮ればそれで良いと考えて居る僕の仕事は一番の見せ場なのに本職の塗りに比べて凄くいい加減です。
車で吹きつけの塗料が垂れたまま走っている車など見たことがありません。
ましてや吹きムラがあったり表面が光っていなかったりというのはやり直しの対象でしょう。
今度の「光丸」塗る度に問題が起きやり直しています。
最初の塗りは3度目の吹きつけに何か異物が混じったようでブツブツになりました。
2度目は二回吹きでしたが2回目にピンと張った塗膜を作ろうと吹きすぎでした。
何カ所も垂らしてしまいこれを研ぎ出して綺麗な面にするくらいなら吹き直した方が楽だなと思います。
吹いて塗膜の厚味を上げるほど紫外線から船体が守られるのでもう一度吹くことにしました。
3度目の正直で今度こそ成功させたいと思っています。
独創的で前例が無く創造的な仕事ほど楽しいがヨット造りには楽しくない仕事も含まれます。