215 「花丸」レストア (2016/12/02)
4ヶ月海の広場を更新しなかった。
理由は色々有るが一番は時間的にも精神的にも余裕がなかったことだろう。
書き始めた今余裕ができたかというとそうでもない。
書いておかないと今の状況を忘れてしまうと思ったから書く気になった。
花丸は進水して12年経過した。
その間 北海道函館入港を含む本州一周 九州一周 ニュージーランド往復 小笠原父島への往復航海を含む四国一周などをした。
本州一周とニュージーランド往復は連れ合いも一緒だった。
普通の週末クルーズヨットよりは格段に長く航海をしていると思う。
一番最初に問題になったのは紫外線に当たり続けたセールだ。
見た目はまだまだ白いし問題無いように見えるが布地そのものが老化して硬くなりちょっとスポット的な力が加わると簡単に破れた。
普通はセールの縫い目糸が先にやられて縫い目から裂けるのだが「花丸」の場合セールクロスそのものが裂けるようになった。
いつも必ず上げていたインナージブは瀬戸内の強風でズタズタの短冊状に裂けてしまい修復不可能となり一番に新調した。
次はメインセールでこれも何でもないちょっとブームバングが当たったくらいで座布団ほどの面積の布がヒラヒラと飛んでいった。
修理に出して使っていたがあちこちに小さい裂け目や磨り減った部分ができセールクロスで出港の度に補修することになった。
仕方がないのでこれも10年目で新調した。
ミズンセールもメインセールと同じ運命だった。
バウスプリット先にあるジェノアジブはほとんど使う機会がなかったので新品同様だったがファーリングジブに改造して9年目からよく使うようになった。
その代わりヤンキージブを使わなくなった。
ミズンステースルという(普通のヨットならスピンネーカーに当たる)5番目のセールは進水以来一度も張ったことがない。
瀬戸内海でも外洋でも一人では5枚ものセールを張る気にはなかなかならない。
上がヨットの主機セールの現状です。
主要な部分は新調したので今回はそのままにします。
今回のレストアで一番気になっていたのはそのセールを張る為のマストです。
マストを支えるワイヤーは普通1×19という1本1本の素線が太いワイヤーを使うのですが、
「花丸」ではワイヤーの端をステンレススエージで止めないで手編みでスプライスすることにしたので7×7という素線の細いワイヤーを使っています。
ワイヤーの締め込みをターンバックルではなくデッドアイとロープで締める古い帆船のやり方を採用したからです。
そのワイヤーの素線があちこち切れて素手で触ったら危ない状態になっていました。
なぜスエージングでなくスプライスとデッドアイでワイヤーを締め込むことにしたかというと大した工具を使わないで何所でも補修ができるからです。
とにかくマストを倒してそのマストを支えるワイヤーを全て入れ替えることにしました。
10年前に一ヶ月かかった仕事なので今回もそのくらいの時間がかかるだろうと思っています。
今回マストステーを全て入れ替えると決めて良かったなと思ったことがもう一つありました。
そんなに酷いとは思っていなかったマストを支えるスプレッダーの腐れです。
スプレッダーやマストは軽くて粘りのあるスプルース材でできていますが、
これは非常に柔らかい腐りやすい木です。
真水を含むとアッというまに腐ります。
それは知っていたのですがあまりにも酷く腐っていたのでびっくりしました。
金具を取りつけているボルトや木ネジ部分がほとんど黒くなっています。
今腐っていなくても直ぐに腐り始める状態でした。
腐って穴が開いてしまったところもいっぱいありました。
放って置いたらスプレッダーが取れてしまいマストを折るところでした。
日頃触ることが出来ないところを今回徹底的に直したいと考えています。
瀬戸内海ではなく長期航海に備えエンジンも重要なところはプロに見てもらうつもりです。