220 ヨットと自転車 (2018/01/15)
今度の世界一周航海には折りたたみ自転車を2台積んできました。
全てアルミニウムの軽くて錆びないヨット向けの自転車でした。
全ての備品を入れても一台17キロです。
小径折りたたみ自転車で折りたたんで船首の三角スペースに二台丁度収まるサイズでした。
インターネットで長時間探してやっと探し当て一台を先に買ったのですが、
気に入ってもう一台連れ合いの分をと思ったときにはもう売り切れていました。
しかし、もう一つ良さそうなのを見つけて少しタイヤ径の大きいのを買いました。
これが正解で坂を登るときは いくら7段のギヤーが付いているとはいえタイヤ径が大きい方が楽でした。
瀬戸内海の島々で何処かへ上陸する度に折りたたみ自転車を組み立てて外周周りをしました。
歩きだけではとても行かない様な所へ楽々行けたのです。
今回の世界一周でも役に立つだろうと積んで出たのです。
本当は帆走中 船首は出来るだけ軽くしておかないといけないのがヨットです。
機走の時は船尾が沈み込みますが、帆走の時は船首が沈むのです。
その船首に2台合わせて34キロもの重さの物を積んだのです。
元々何も積まない状態で3.8トンと軽い「花丸」にとっての34キロ それも船首にというのは非常に決断が要りました。
それでも軽い折りたたみ自転車の良さを知ってしまった僕達は降ろして航海に出ようとは思いませんでした。
そこに一つ日本とは違う状況がありました。
それは泥棒が居ると言うことです。
日本にももちろん泥棒は居ますがほとんどは高校生くらいの若者がちょっとそこまで借りて行くという感じの泥棒さんです。
自転車は元より車にも家にも松山市堀江町では30数年鍵をかけたことがなかったのです。
ところがこちらではどうも泥棒を商売にしている大人が居るようなのです。
ちゃんとワイヤーロックで車体のばらせない部分にロックをしていました。
スーパーマーケットに入っているほんの10分ほどの間です。
しかも、ロックをしたのはスーパーの自転車止め専用のパイプです。
人通りも多く車も沢山出入りしている様な所なのです。
スーパーから出て来て自転車が2台とも無いと知ったときには唖然としましたがどうすることも出来ません。
こちらでお世話になっている南さんに電話をしてどうしようかと相談しましたが手の施しようがないと言うことでした。
そしてもし見かけても自分で声をかけてはいけない、危険な目に会わないために警察に知らせるようにと言われたのです。
と言うことで完全に諦めて 一件落着しました。
自転車が無くなって悪い事ばかりではありません。
車に乗っていたのでは解らない事が自転車では見えます。
それと同じように自転車では解らなかった事が歩きではよく見えるようになりました。
家の構造がよく見えたし、庭の植物も日本とは違います。
色々珍しい植物や地リスやハチドリや窓からのぞいている猫や犬などその家々の特徴がよく解りました。
飛行機よりもヨットの旅の方がそれは色々なものが見えて良いに決まっています。
乗り物はその速度に比例して周りが見えなくなる様なのです。
僕達のように普通の旅とは全く違い 何はなくても時間だけはいっぱいあると言う旅人には歩くのが向いていると感じました。
その上に歩き回ると疲れて寝付きが良いというおまけまで付きます。
長く田舎町に住んで車の生活に慣れすぎていました。
一日に1時間や2時間は歩いてみるのも良いことですね。
日本に帰っても歩いて行ける所には歩いて行くことにします。