221  エクアドル (2018/08/05)

2018年6月16日現地時間の朝エクアドルのPuerto Lucia Yacht Clubに入港した。

メキシコのLa Pazからサイクロンの発生を避けながらやっとの思いでエクアドルの近くまで来たが、
エクアドルのことはほとんど解っていなかった。

出航前から随分お世話になっているMMさんにエクアドルのヨット事情を調べて頂いた。

ヨットクラブの名前がついた所は色々有るが全く外国の船を受け入れる体勢が出来て居ない。
沖にアンカーリングをしてもテンダーを受け入れないマリーナばかりなのです。
まさか自船を空にしてそのへんの砂浜にテンダーを放置して毎日上陸する人は居ないだろう。

と言うことで外国のヨットを受け入れる体勢がある2つのヨットクラブの内より南にあるPuerto Lucia Yacht Clubへ行くことになった。

ランドフォーしてから一昼夜 向かい風と時間調整のためゆっくりと南下して朝ヨットクラブの直ぐ近くまで来ると、
Puerto Lucia Yacht Clubと書いたテンダーが迎えに来てくれていた。

そのテンダーについていってヨットクラブの前のブイに船を繋ぎヨットクラブのテンダーに乗って上陸。
初めてのエクアドル上陸だった。

Puerto Lucia Yacht Clubが入国手続きの代行をすると言うのでお願いした。
事務の女の人が書類を整えてくれて150ドル支払う。
しばらくすると5人の男の人がマリーナのテンダーで現れて色々聞かれる。
解らない事ばかりだが何とか入港手続きは終わった。

その後沖のブイを離れマリーナの中の桟橋に船首舫のブイを拾って後進して船尾付け。
とても花丸のように直進性が良く回転性が悪い船に出来る事ではない。
マリーナの従業員が5人がかりで無理やり花丸を桟橋に船尾付けで泊めた。

翌日には船を燻蒸するからともう150ドル支払う羽目になった。
まあそういう決まりだというのでやらない訳にはいかなかった。
黄色の防護服を着て防毒マスクをかぶった人とドクターとおぼしき人が来て花丸の中に入って消毒液を散布した。

その後電気と水道は陸の岸壁まで来ているので自分の電線と水道ホースで引けと言われた。

電線もホースも持っていないのでそんな事はできないと言うとマリーナが電線と水道ホースを買ってきて僕がその代金を支払うことになった。
水道ホースは20メートルくらい、電線は太い3本線でとても重くそんな物を花丸に積んで出港する訳にはいかないのでもっと軽くて細い線に買い換えてきてくれと主張。
話し合いの末水道ホース代は花丸が支払い、電線代はマリーナ所有の電線とすると言う事で一件落着。

Puerto Lucia Yacht Clubのマリーナ生活が始まった。


海外から来ている船は花丸も入れてたった4艇のヨットと一艇の大きなモーターボートだけだった。

先ず入港して2日目にアメリカ33フィートヨットのトムさんとアニーさんが地元の市場へ行こうと誘ってくれて魚市場でマグロを買ってかえり刺身を作った。
彼らは船を上架していてしばらくするとペリー観光に行くと言って出ていった。

もう一艇はスエーデンから来たラスモス君とトバさんのカップル。
ダブルエンダー40フィートを超えそうな重い船を上架して修理中だった。

チークデッキのチーク材を全部剥がしてノンスリップペイントにやり替えるという。
5ミリから6ミリくらいに磨り減ってしまったチーク材を大量に捨てていた。

もう一艇はアメリカ船籍の船でコロンビアの男の子がコックとして乗っていた。
体中に入れ墨のある2人の男が中心で良く次々に違う女の人が現れた。

気の良い人達で最初は取っつきにくかったが最後にはよく話すようになった。
彼らは数日前にガラパゴス諸島へ行く書類が整ったと言ってガラパゴス諸島へと旅立った。

その後の空きバースに昨日ガラパゴス諸島から43フィートのアメリカのスループが入ってきた。
彼らはラダーシャフトのシールが調子が悪く部品が着いたら上架して修理をするそうだ。

一番活発に動いている現地のヨットはアーノルドさんという人の48フィートで、チャーターヨットを仕事としている。

ほとんど毎日のようにチャーターの人を乗せて出港している。
彼は完全な英語とスペイン語を話す。
奥さんはエクアドルの人で、一見すると東洋人かと思うような顔つきのおとなしい人だ。
自分たちの娘と奥さんの姉妹の男の子を預かっている。
どうも二人とも学校へ行っていないような感じだ。


さていよいよエクアドルと他の国や地方の違いで僕がおやっと思った事を書いておくことにする。

① ここPuerto Lucia Yacht Clubでは海中から石油と天然ガスが吹き出している。あちらでもこちらでもブクブクと泡が立ち、時々海面上に油が浮かぶ。時にはマリーナの海面一面何処かの船がビルジを海に捨てたのではないかと言うくらい油の膜で覆われる。ガス抜きのための高い煙突が立っているが時々歩いていても強力な油の匂いがする所がある。沖の方にはタンカーがいつも10くらい停泊して海中から沖に伸びる原油パイプラインでタンカーに積み込んでいる。

② 何故かエクアドルはヨットには冷たい所で海外のヨットを受け入れるヨットクラブは2つしかないそうだ。その一つがPuerto Lucia Yacht Clubだと言う。もちろん口コミやネットなどで海外のヨットはその事を知っておりほとんどのヨットはエクアドルを飛ばして行くらしい。人気のガラパゴス諸島へ行くのは至難の技で、沢山の書類を用意して沢山のお金を払う必要があるという。僕たちが入港したPuerto Lucia Yacht Clubで書類を2ヶ月近くかかって作りついこの間ガラパゴス諸島へ向けて出港したアメリカのヨットもあった。書類を整えるのは、おめでとうと言わないといけない位難しいそうだ。

③ ヨットクラブに居るエクアドルの人達は実によく働く。木工や塗装の業者達も腕が良いし実に熱心に働いていた。モーターボートを管理している若い人達もそれぞれ一人で磨いたり洗ったりオーナーが居なくても朝から晩まで隅から隅まで仕事をしている。操船もできるし維持管理の腕も熱心さも真似できないほどだ。

④ ほとんど東洋人が居ないので僕たちを見るとちらっと見ただけで外国人だと解るらしい。中国人か日本人かと訪ねる人も居る。いきなり日本語でこんにちわとかありがとうとか言ってくる人も居る。知らぬ顔をしていて通り越してからあれは中国人だというチノという言葉と日本人というハポネという単語が聞こえることもある。

⑤ 入港日に日本語で話しかけてきた漁船に沢山の人を乗せていたのがホルヘさんです。ホルヘさんは15年前の若かりし頃(現在47歳)、日本のマグロ漁船に乗って仕事をしていたそうです。大統領が替わり日本漁船をエクアドルから締め出してしまったと言います。でもきっと日本漁船の乗組員に良くしてもらったのでしょう大の日本びいきです。日本語を思い出しながら色々な話しをしてくれます。息子さんが漁師をしているとかでとても市場では買う事が出来ないような新鮮な魚やエビやカニを何度も持ってきてくれました。 お家にも誘われ昼食をご馳走になりました。

⑥ 道を走っている車の半分くらいはタクシーです。どのタクシーも黄色で統一されています。韓国の車が多いです。日本車も有るにはあります。道を歩いている人を見つけるとピピと2回クラクションを鳴らします。多くの普通の人がタクシーを利用します。たいていは近くで1ドルくらいです。車はボロボロでとても日本の車検には通らないと思われる物ばかりです。ナンバーが無くて走って居る車を時々見かけます。日本ではあり得ませんね。単車は圧倒的にスズキが多いです。

⑦ お金はアメリカドルそのままです。大分前にスークレという独自のお金を廃止してドルになったそうです。ドルも100ドル等は見たことがありません。一番大きいお金が20ドルです。またよく使う1ドルはアメリカではめったに見ない鋼貨です。何故かと聞くとどのお金もクチャクチャに汚れていますから一番よく使う1ドルが硬貨だと言うのです。紙の紙幣だとアッというまにダメになります。アメリカでは良く1セント玉が道に落ちているのを見ましたがこちらではお金が落ちているのを見ません。

⑧ 道路は日本ほど綺麗ではありません。あちこちに犬の糞があります。何所にでも犬が寝そべっています。でもメキシコほど汚くはないし凸凹ではありますがメキシコほどではありありません。ゴミもある程度は掃除されていて、綺麗な道もあります。

⑨ 学校には物売りが群がっています。たいていは前輪が2つ有る三輪車です。色々なものを売っています。お菓子、アイスクリーム、ちょっとした果物や食事、それこそ何でもありです。門の隙間や出て来た学生を狙って売りまくっています。先生が居てもお構いなしです。

⑩ スーパーマーケットには大きな袋状の私物を持って入らないようレジの近くに鍵付きのロッカーがあります。ロッカーに持ち物を入れておいてスーパーの中に入ります。多分万引き避けでしょう。買い物の時に押して廻るカートは場内だけでレジから外に押して出られません。レジの周りはカートだらけになるのでそれを回収する専門の人が居ます。そのカートの中には持っては来たが買わない事にした商品が大抵残っています。また商品の棚のあちこちに別の所から持って来たが買わないと思った品が置いてあります。どうしてこんなのがこんな所にと思う所に全く関係のない品物が置いてあったりします。その事はメキシコも全く同じでした。

思い出す限りの僕たちが変だなと思った事でこちらでは普通のことを書き足します。


⑪ エクアドルの男は立ち小便をします。ツバを吐きます。あちこちに立ち小便の後があり、いつもする所は強烈な匂いがします。

⑫ エクアドルの人は高いヒュッという口笛で人を呼びます。昔40年前のメキシコのアカプルコで何度もその音で振り返り口笛で呼ばれるなんて嫌だなと思った事を覚えています。アカプルコほど頻繁ではないにしろプエルトルシアヨットクラブでもエクアドルの男は高い音の口笛で遠くの人を注目させて大声で話したりしています。町中でもヒュッという口笛をよく聞きます。

⑬ トイレの紙を水洗トイレなのに便器に捨てません。便器の隣にあるゴミ箱にお尻を拭いたトイレットペーパーを捨てるのです。どうしてなのと聞いてもそれらしい答えは返ってきません。トイレットペーパーは今までのカナダ・アメリカ・メキシコ・エクアドルでは日本の紙が最高です。柔らかくて水に溶けやすい。エクアドルのトイレットペーパーは硬くて水に溶けにくいから流さないのかなと思ったりします。僕は時々忘れて流します。でも詰まるようなことはありません。それにしても水洗トイレの一回の水量は日本の半分くらいです。よほど水が不足しているのかなと思ったりします。

⑭ エクアドルの人は背が低いです。今の日本人の平均よりずっと低いと思います。和江さんの身長145センチくらいが女性の平均身長みたいです。日本では小学生でも半分以上は和江さんより背が高くなり、中学生では一番低いくらいです。高校生でも小さい人が多いし、大人でも和江さんより小さい女性を沢山見かけます。

⑮ 高校生がデートをしているのを良く見ます。中には平気で人前でキスをする子達も居ます。エクアドルは宗教上の理由で一度結婚すると戸籍上は別れられないのだそうです。 それでも当然ですが何人も事実婚で次々に相手を替えるようです。

⑯ エクアドルの人の名前は最初の二つが名前で後の二つの内先の方がお父さんの最初の名字で次がお母さんの最初の名字だそうです。ほとんどの人の名前は4つの単語で出来て居ます。

⑰ ここでは全くゴミの分別をしていません。何もかも一緒に出します。アルミ缶を拾って回って居る人も居ません。カナダでもアメリカでもメキシコでも見かけました。日本にもアルミ缶を拾っている人は居ます。エクアドルは再生工場が無いのかも知れません。

⑱ ガソリンや軽油は流石産油国もの凄く安いです。1リットル50円とか60円の世界です。そこら中からガスや油が噴き出すと言うのも危険で良いことではありません。

⑲ 車の警報音が大好きみたいです。あちこちで盗難予防の色々な音が混ざった警報音が鳴っています。なかなか止めようとしません。日本ならうるさいと言ってしかられそうな音です。それにバスはもの凄い電装をしています。ブレーキを踏むとバスの後ろあちこちに取りつけたJEDランプが賑やかに点滅します。バスは個人の物なのでしょうか。メキシコのオンボロバスよりずっと良くて大きく 自動ドアでエアークッションの付いた日本製日野のバスです。

⑳ 市場は活気にあふれています。小学生くらいの子供から大人まで色々なものを持ち歩いて売っています。生活用品全部です。その他にも三輪車の物売りや決められた固定の店、ありとあらゆる物が渾然一体となって売り声が響きます。声が潰れてしまったがらがら声の魚屋さんは日本と同じですね。やっと買い方が解ってきました。先ず商品を見極める、声をかけられて立ち止まっても良い商品を相手が持っていなかったら買わないと言うのが大事です。値段はエクアドルの人へ売るのも外国人に売るのも変わりません。自分が決めてある値段で売ってくれます。高いと思ったら買わない事です。

思い出す限りの僕たちが変だなと思った事でこちらでは普通のことを書き足します。



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