228  ケープホーンからカーボベルデ 2 (2019/05/28)

ケープホーンではおきまりの儀式 海水をくみ取りチリワインの空ボトルに入れてコルク栓で封印 をやりました

また友人(中山さん)と母と叔母の遺骨を散骨
風はあまり吹いていないのにチョッピーな三角波が立ちゆっくりも出来ませんでしたがお祈りもしました

その後ぐるっとケープホーンがある島を時計回りに一周してそのままエンジンを切り帆走に入りました 発電以外ではエンジンは使わないぞと決心

いよいよ外洋でのローリング40 南緯40度です

一日目はまあまあの天気でしたがケープホーンを離れて2日目から強風が吹き始めた

気圧計も乱高下という感じで一気に30ヘクトパスカルくらい上がったり下がったりします
風力5が常識の毎日です

ずっと曇りが続きバッテリーの電圧が12Vを切りました

時々エンジンアイドリングで充電しますが 元々花丸のバッテリーはディープサイクルバッテリーなのでエンジンジェネレーターだけでは充電できません
パルス充電と言って電圧を上げたり下げたり 丁度ソーラーパネルからの発電の様な電圧変化が無いと充電できないのです


ケープホーンを超えて8日目恐れていた流氷に合いました

チリ時間16:15
S-52.05.431
W-42.35.797

流氷と言うより氷山です

海中にはもっと大きい塊があるのでしょうが海上に出ている部分だけでも外洋を走る大きい本船の何倍もの大きさです

透き通ったブルーに輝く大きな氷山を見たとき ここは別世界なのだと思いました

あれに 強風の中 2ポイントリーフメインとインナージブで一日平均7ノット以上で突っ走る花丸が激突したらと思うとゾッとしました
タイタニック号と同じ運命になる事間違い無しです

寒さも極まりました
ヘリーハンセンの下着を着てありったけの冬服を着込んで手袋靴下も2重にはいても寒さ嫌いの僕達にはとてもたまりませんでした

和江さんが腰痛だし 寒くてコクピットには居れないし 差し板を開けていると船内がしばれるし
色々な言い訳をしてワッチ無しで24時間ウインドベーンが頼りで突っ走ります

電気が少ないのでOPEN-CPNを動かすパソコンも朝だけ立ち上げ位置を確認したら昼間はストップです


何もかも最低の状態で南の強風に押されセールを小さくした状態で早く南緯40度を超えたい一心で走りました

やがて南緯40度を過ぎると今までの強風や高い波が嘘のように収まりました

チリのバルディビアが丁度南緯39度です
同じ緯度の大西洋側に来てホッと一安心
それまでのケープホーンから北上する航海が夢の様な感じになりました


その後出会ったのがアフリカ大陸寄りの微風帯のスコールです

これも厄介です ずっと空を見て居れば解るのですが黒雲が一気に押し寄せ強風と大雨をもたらします
しかも、それはイリジュウムでキャッチするプロディクトウインド天気予報にはほとんど出ていないのです

和江さんは雨をバケツや洗面器に受けて身体を洗おうと言い出しました

全部で200リットルくらいの雨水を受けてペットボトルや水を買ったボトルに溜めて置いては頭を洗い身体を洗い洗濯物の最後のゆすぎに使いました
毎日のようにスコールが来て水には困りませんでした

雨水を受けるのはミズンセールのブームがグルーブ方式の方が有利です

何故かセールを発注したときハイドセールはブーム部分のグルーブ使用を見落としフットをグルーブ無しフットにしたので水を取るのに苦労しました
わざわざワンポイントリーフしてミズンブームのグースネック部分に水を集められるようにしたこともあります


最後はカーボベルデまでのいつまで続くのかと思わせる長い長い登りでした

風はあまり強くないのですが花丸には不得意の登りが延々続きます

一日に100マイル走れない日が続くので気が滅入ってきます

そんな日が15日ほど続いてやっと目的の島Sao Vicente にあるMindeloに近づいたのですが
島に近づくと風が追っ手の南西に変わり花丸を島の方に押してくれました

これ幸いと一気にSanto Antao 島とSao Vicente島の間を北東方向に登ったのですがこれは間違いでした
急に風も潮も逆になりしかも強風です

ずっとケープホーンから充電のためのエンジンしか回していませんでしたが 仕方無く機帆走にしました
残りの燃料が予備も含め100リットル丸々あるので安心ではありましたが 6時間以上の苦しい風上航でした

Mindelo到着予定が大幅に遅れ知らない港には決して夜は入らないと決めていたのに強風を避けるため港に逃げ込むしかありませんでした

毎日毎日ほとんど北東の風が吹いている所なのが解っているのですから多少遠回りをしても余裕を持って北から入って来るべきでした

チャートは古いOPEN-CPNのチャートです ここでも正確ではなく測地径のずれがあります

町の灯がキラキラ光る中 極微速でマリーナを捜しました

結局現地時間の夜中を過ぎてマリーナの夜警をしている人に手伝ってもらい桟橋に横付けして朝を待つことにしました

 

ポートウイリアムズというチリ最南端の町を出てから65日目で今まで最長の外洋滞在でした
やっぱり2ヶ月は長過ぎです 出来れば1ヶ月以内に次の港に入れるよう計画すべきだと思いました



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