245 緑に恋したヨット乗り (2024/02/26)

 3年近く休止していた海の広場を復活させる気になりました。

長く休んでいたのでどこをどう触ってよいか分からなくてしばらく悩みましたがやっとやり方を思い出しました。

 僕たちが長く花丸で航海をしていた間凄く気になったことがありました。

それは世界中のどこの国を見ても全体的に日本程緑の多い国は無いと言うことです。

もちろんヨットの旅ですから全ての国を回った訳ではありませんが山々がこんなに緑に覆われた国は見ませんでした。

カナダもアメリカもメキシコも南米もアフリカもヨーロッパも一部人間が住んでいるところは緑を植えているところもありましたが元々ははげ山がほとんどだと思いました。


 ヨットの旅はほとんど海の上です。

どこかの港に入港しても船の生活です。

揺れる船の上で海ばかり水ばかり見る生活でした。

 知らない国に行くと港の近くを探索して歩き回りました。

もちろん買い物の為の歩きもありましたがほとんどは珍しいものを探して探検の様な歩き方です。

メキシコなど砂埃が立ち暑くて溜まりませんでしたが、くたばりそうになりながら歩いたものです。

西部劇にで出来そうなサボテンしか無い山にも町を通って歩いて行きました。


 自然の田畑にしても山にしても四季がある日本程変化に富んでいてなお緑が多く美しい国土を持った国はそうはないと確信しました。

 ヨットの生活程不安定な所ではなく田舎の動かない揺れない家に住み周りの山を眺めながら畑を耕して生活出来たら良いだろうなと思う様になりました。

人間は元々海の上で長時間住むような動物ではないようです。

無理をすれば1年や2年は行けるでしょうがずっとというのは問題です。

僕の夢を後押ししてずっと付いてきてくれた和江さんに感謝ですが,今度は畑を手に入れて農業をしたいという和江さんに僕が付いていく番です。

ヨット ヨットでずっと50年過ごしてきた僕なので土や野菜のことは全く解りません。
それでも1年やってみて、まあ10年もすればスタート台には行き着けそうな気がしています。

何でもそうですが人間真剣に経験したものだけが自分の身につきます。

 最近はYouTubeで農業の番組を見るのが日課になっています。

ヨットと同じように農業にも専門用語が多いので,何を言っているのか分からなくなることがあります。

それでもヨットのように全てが英語、全てがヨーロッパから来たものではないので何となく理解できます。

ヨットの世界のようにそんな言葉も知らないの話にならない と言われるようなことはありません。

みんな親切に聞けば教えてくれます。


 幸い日本に帰って1年程で趣味の農園を借りることが出来ました。

たまたまDCMでプランターに植える苗を買っていた和江さんが知り合った人が農園主でした。

何も知らない2人が6メートル×8メートルの畑を借りて初めての野菜栽培を始めたのでした。

多くの農業を趣味にしている人に出会い,いろいろな農業のやり方を見ることが出来ました。

人付き合いも増えて趣味でも農業の大変さを少しずつ学ばせてもらいました。

 季節の変化や虫や蝶やモグラや色々なものと接する機会が出来、おまけにすぐ近くに迫る山々の緑が色を変えて迫ってくる思った通りの姿でした。

本当に生きていてよかったなと思います。


 そうこうしている内に30年程前に僕の家を建てた時知り合った水道屋さんが仕事を辞めて本格的に農業を始めていることを知りました。

今井さんという水道兼住器屋さんの社長で今はトラクターも持って本格的に農業をやっています。

現在71歳で10年程前からリタイヤしたら農業をやろうと計画して上手に農業に移った人です。

やっと軌道に乗ってきたといい、道後のホテルや飲食店やスーパーなどに野菜を卸しています。

 彼が やりたいなら隣の土地を借りてあげるから農業をしたらどうかと言うことでやってみることにしました。

前に借りていた人が歳を取って出来なくなりもう何年か草刈を今井さんがしていた段々畑です。

地主の所にあいさつに連れて行ってもらい ケガをしないように気を付けて と言う注意の言葉だけでした。

まあ年に一度くらいは手土産を持って挨拶に行けば良いよと教えてもらい土地を借りてから1年経った去年の年末今井さんと一緒に挨拶に行きました。


 場所は僕の家から車で5分 それでもう山の中に入ることが出来ます。

段々畑で僕たちが始めたのは「菌ちゃん農法」 と言われる畝作りでした。

畝の中に丸太を入れてその上に枯れ草や落ち葉を入れて土をかけ黒マルチと呼ばれる黒いナイロンで覆った畝を作りました。

すぐには何も植えずしばらくして糸状菌が丸太に繁殖してきてからニンニクを植えました。

 お借りした畑には猪やハクビシンや猿など山の動物が現れるので それらの動物が好む作物は出来ないのだそうです。

隣の今井さんの畑には害獣除けの金網がしてあり 上の人の畑は電気柵で覆われています。

僕たちは来る獣たちが食べない野菜を植えることにしました。

やっと秋野菜が出来始めたところで,冬を過ぎ春が訪れようとしています。

 さあ 緑の春がやってきます。

山は新緑に覆われ僕たちの畑も草も含め緑が徐々に増えてきました。

 次々と新しいことの発見で陸上生活を楽しんでいます。

動かない大地、ふんだんに使える水{お風呂にさえ毎日入ることが出来ます}、いくらでも使える電気、そして毎日緑に囲まれた生活です。

こんなにも良い世界が有ったのに・・・・ 完全に忘れて自分が作ったヨットで世界一周を追い求めた50年は一体何だったのでしょう?


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