2000/11/20 24 米子杯レース参加

 とんでもなく凄い人がいた物です。左腕が無くてレーサー艇の様なクルーザーで大西洋・洋太平洋を単独横断した愛媛県保内町の米子さんと言う人です。ヨットを始めて3年目だそうです。現在も船長免許が取れないので、レースにも免許を持っている人を乗せて走っていましたが、やっているのはほとんど彼でした。片腕でボルトロープ式のメインセールをあげるのですよ。勿論外洋を渡るとなると何度もリーフもしないといけなかったでしょう。両腕があっても荒れてきたらリーフをするのはおっくうです。もともと帆船時代から船乗りは「片手は自分のため、片手は船のため」という言葉があるくらい、自分の体をホールドする事は大切なことで、とにかく足ではなく手の方がよく揺れるヨットの上では大切なのです。


 それを片腕でしかも日本では免許が取れないからフランスから出港したというのです。今私の知り合いも免許を取っている最中の人がいますが、あれはお金を出して買うような物で何の役にも立たないと言うことは持っている人もみんなが認めることです。例えば小型船舶免許を持っている人を1000人抽出して、何人の人がヨットを扱えると思いますか?一人かな?二人かな?そんなところなのです。米子さんがとんでもない実績があり、自由自在に小型船舶が操れると言うことを証明しても、決まりだからと規制するような免許は結局は役に立たない免許なのです。免許全般に言えることですが、それを持っていると言うことと、実際に出来ると言うこととは別のことのようです。特に小型船舶免許はいけません。


 さて米子さんですが、何の気負いもない普通のおじさんです。保内町に住んでいては色々と目立つので大阪に住んでいるそうです。時々ヨットにも乗せてもらうのだそうですが、やっぱり一人で乗りたいのに、日本ではそれはかなわないので、もう一度外国から乗るそうです。今度はしっかりした船を見つけて世界一周だと言っていましたが、それがよいでしょう。僕も外国に入港するときに、パスポートやイエローカードや色々と書類を提出する機会がありましたが、小型船舶免許証と船検証はこれは何だ、必要ないと直ぐに返されました。だって外国の港では小学校にも入っていないような歳の子が船外機付きのボートを上手に操っているのです。それに日本に入ってきた外国船籍の船は外国人は当然免許を持っていませんが、船舶検査も小型船舶免許も必要ないのです。同じ海面を使用しておかしな話です。車だったら外国人でも日本の自動車運転免許がいるのに、殆ど人に迷惑をかけないヨットなんて、免許がいるのでしょうかね。


 レースは完敗でした。6メートルツーリングセーラーと言う、井上さんという方の自作艇に乗せてもらったのですが、風力4くらいのアビームでラダーシャフトが曲がってしまい、着順は最後から2番目でした.新艇で臨時航行中のシェークダウンのつもりで参加したにしても、負けたら悔しい。私がレースをしない理由は腕が悪いので負けたら悔しいと言うところにあります。人に勝つためにヨットを走らせるなんて面白くないことはしたくないのです。舵に一切触れないでのんびりと楽に速いセーリングがしたい物です。

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