2001/2/7 ヨットの引き釣り

 外洋を走るヨットでは、引き釣りは変化の乏しい毎日の楽しみでもあります。勿論貴重な蛋白の補給源でもあります。

 刺身を食べる日本人にとっては、新鮮なビタミンCの補給源でもあります。アラスカエスキモーは昔は全く野菜無しで、生肉だけで脚気にもならずに生活できていたのです。

 世界的に見ると生で魚を食べる民族はそんなに多くはありません。その面では刺身を食べる日本人は結構ヨットのクルージングに向いているのかなと思ったりします。
 南太平洋の西サモアの漁師さんが、釣った魚をいきなりその場で横っ腹に切れ目を入れて、「sasimi」だと言って食いついたのにはびっくりしました。放したらそのまま泳いでいきそうなやつでした。

「魚」

 引き釣りで釣れる魚は、マグロ カツオ シイラ 等の回遊魚が主です。それぞれ色々な種類があります。

 私が釣った一番でっかいのはマグロのコクピットからしっぽがはみ出すようなのをつりました。2時間くらい格闘してやっと弱ったところを 両エラに手を入れて、足の力でコクピットに引き込みましたが、こんなのは例外です。殺してしまった限りは食べなければと思って、最初は大トロから刺身で、しかし醤油漬け、味噌漬け、塩干しと無理をして食べましたが、あんなのは釣りたくありません。新鮮な魚が食べたいだけですから、小さい食べ頃のが良いと思います。

 南太平洋では毎日でも釣れる海域もありました。地域を問わず、荒れて波が高いと殆どつれないようです。

 それと太陽に向かって走っていて、疑似餌が追っかけてくる魚にあまりはっきり見えない時が良く釣れたと思います。

 シイラは、日本ではあまり重宝しない魚ですが、他の所では白身の方が好かれるようです。ハワイでは一番高い魚です。マヒマヒと呼ばれています。

 カツオは、まさかヨットの上で藁で炙る訳にはいきませんので、肉の塊にぐらぐら沸いたお湯をかけるか、お湯に潜らせるかしたら、周りが締まった美味しいたたきが出来ます。

 良く切れる包丁と、刺身をそのまま盛りつけられる大きなまな板があると助かります。

「道具」

 100メートルくらいのラインの先によりもどし付きのワイヤーとステンレスのフックと疑似餌が付いている物を使います。実際に魚がかかる部分より5メートルくらい前に ばくだん や 鳩 と呼ばれるスプレーを発てる物や、潜航板を付けて少し潜ったところを疑似餌を揺らしながら引いたりします。

 フックは鉄だと直ぐに電触でやられてしまいます。

 魚が興味を示すように、ゴムのけばけばしいタコを針の前に付けたり、色々な工夫を凝らした疑似餌を付けるのですが、だいたいは良く釣れる物から順になくなっていきます。大きいのがかかって切れたり、鮫に食われたりします。しかし、これに何万円ものお金をつぎ込む価値は充分にあります。外洋の魚は1匹釣れば元を取れるような魚がかかるからです。

 引き釣りの船側の固定は、自転車のタイヤチューブが最高です。釣れたらビューンと音がして目一杯伸びて、魚のショックを和らげます。
 決して釣れたら解るように足の指に釣り糸を縛って眠ったりしてはいけません。指ごと引き千切られる様な凄い力が掛かります。

 遠洋マグロ延縄漁船のフックを見せてもらったことがありますが、ヨットの等比べ物にならないくらい太くて大きな鉄のドブ漬け亜鉛メッキのフックを使っています。大物ねらいだからでしょう。それに引かないので電触もあまり気にしなくて良いようです。

ついでに

 洗濯物はネットに入れて引き釣りの様に船尾に流しておくと、繊維の細かいところまで海水が通って綺麗になります。洗剤は必要有りません。凄く綺麗になるのです。

 但し、鮫に取られないようにご用心。

 干すときに、きちんとしっかり絞って干せば、あの潮のべとべと感は有りません。気持ちの良い新しい洗濯物です。

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