木造ヨット(2001/6/29)

 今主流のFRPヨットはお金さえ出せば直ぐに手に入りますが、
木造ヨットは作ってくれる所がほとんどないというのが現状です。
もう頭から船はFRPと決めてかかっている年代も出てきています。
木造船に触る機会もないままに多くのいろいろな形のFRP船を見せられたら、
ああ船ってFRPで出来ているのだなと思ってもおかしくありません。

 そんなFRPの船も最初は木型から造ります。
全く船型通りの木型を作りそれからメス型を作って製品を量産するわけです。
量産といっても普通ヨットの場合50艇以上作らなければ、
型代は出ないと言われています。 
ところがそんなに沢山同じ型のヨットが売れるのは非常にまれなことなのです。

 あの巨大販売網と全国に散らばる泊地を持つヤマハでさえも、
ヨット部門はずっと赤字だったと聞きます。
ヨットを買う人は車を買う人ほど一律ではないのです。
少年の頃の自分だけの巣という感覚を引きずった少年の心を持った大人達です。
そんな人たちがお隣さんと同じ物をほしがるはずがないではないですか。
よそにはない、自分だけの巣はやはりオーダーメイドか自分の手で作るしかないのです。

 多分今40歳くらいから以下の世代の人たちは、
よほどの田舎育ちでない限り雑木林に巣を作った経験はないでしょう。
おそらく団魂の世代をピークにヨット人工が伸び悩むのもそのあたりに原因があるのではないでしょうか。
自主的に遊んだことがない人はヨットには向きません。
少なくとも目的がない(レースをしない、どこに行くわけでもない)遊びをやったことがある人でないといけません。

 そんな人が求めるのが、木造の自分だけのオリジナルヨットです。
とてつもない時間と労力とお金をかけて、FRPでない自分だけのヨットを持とうとします。
主流は自作です。
しかし、一度大きな船を自作したことのある人なら、
それがどんなに大変なことか解ってお金のためだけなら腕の良い船大工を捜そうとします。
ところが、腕の良いヨットの船大工というのは絶滅危惧種でもう日本にはほとんど存在しないのです。
他の職業にもそんなのはあると思いますが、必要なかったら廃れます。

もともとヨットを作ることは2番目に好きなことで、ヨットに乗るのが最高の楽しみです。

早く自分のヨットを造って世界一周の旅に出たいものです。

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