梅雨(2001/7/13)

 梅雨の色は雨の色でしょうか?
おかげで松山の水不足は解消されました。
だいたい毎日少しは雨が降るようで、土の部分は何時までも黒い色のままです。
朝は草花が露をしたたらせています。
でも もうアジサイの花は終わりです。


 私の持っている非常に繊細な温度、湿度記録計は、
常に90%の湿度の所を上がったり下がったりしています。
こうなると、全くエポキシ接着はお手上げです。
今の状態でもし接着をやれば、100%失敗ですね。
一見接着できているように見えて、強度は半分以下です。

 ヨット工作の大変さは、そんな目に見えない所にあると思います。
他の物作りとの違いを考えてみたのですが、
そんなに大差があるようには思えません。
ただ、他の物と違って圧倒的な強度と性能が求められます。

 車や飛行機などにも強度と性能は求められるのですが、
その中に住んで、衣食住をこなし、おまけにどこへでも移動する性能がある。
そんな物を作るのはやはり細心の注意が必要です。

 特に見えない部分に、気を遣う必要があります。
船内の物の配置や、いつでも変更できるような部分は程々でよいのですが、
船の一生の間 全く変更することがないであろう、
重要部分の接着や塗りは、梅雨時期は外してやらなければなりません。
これは非常に大切なことです。
温度管理と、湿度管理がきちんとできる工場で木造船を作っている所は、
日本にはありません。

 しかし、日本のほとんどの地域は四季がはっきりしていて、
梅雨もあります。
ヨット作りには良い条件ではありませんが、私はこんな気候は好きです。
このうだるような暑さの時は、あの冬の身を切るような寒さを願い、
凍えつきそうな寒さの時は、蝉が暑い暑い声を出して鳴く真夏を懐かしみます。
身勝手な物ですが、今の梅雨の時期は懐かしいとは思いません。
カヌーに乗っていて増水した思い出や、
エポキシ接着に失敗した思い出や、
接着待ちで1ヶ月も仕事ができなかった思い出や、
ろくな思い出がないからです。

 もうすぐ梅雨も終わりです。
梅雨が終わると、風もなくなり鏡面仕上げのべた凪の瀬戸内海になります。
夏になると、「ヨットの季節ですね」と私に言う人が居ますが、
ヨットを全く知らない人です。
しかし、私の返事は元気良く 「はい むにゃ むにゃ むにゃ ‥‥‥」なのです。

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