2001/11/14 プロとアマ

以前から時々考えていたことですが、ヨット作りのアマとプロに関して考えを少しまとめてみました。
 
今度アマチュアでは最高峰と思われるセーリンクカナディアンカヌーを、
桑原さんという愛媛の方が作りました。
実質3年、休んでいた間も入れると7年かかったそうです。
私が作ったセーリングカヌーと並べて置いてどちらが私が作った物かと言われたら、
ほとんどの人は解らないのではないでしょうか?

桑原さん曰く、お金ではこんなのは作れない。
そうなのです。
自分のために、
金銭 労力 を度外視して初めてそこまでできる作品なのです。
もう一つ作りますか?
と言う野暮な質問をしました。
二度と作らない、作れないそうです。

私はプロだから作らないといけない。
作るのが好きだからプロになったのです。
私の全てがヨット作りなのです。
寝ても覚めてもと言いますが、
ヨットを作り始めてこの方、何もかもヨットでした。

ここまではやる必要があるという、
ヨットに必要な限界を知っていますし、
不必要なことには力を入れないと言うことも心得ています。

独学でヨット作りを習ったのですか?
と言うような質問をする人が居ますが、
ヨット作りなんて学問ではない、
誰かが教えてくれる物ではありません。
プロだから自分が工夫して 
より早く、より簡単に、より美しく、より安く、より良い物を
と言うのを求めるのは普通です。

さて誰のために、何のために作るのか? と言うのを、
小さな鳥のブローチ(ラブバード)(私のホームページにリンクしています)を作る帯広の友人 田中輝顕 さんは、
「仮想友人のため」に作ると言い、
私は、私のために作ると言います。
私のヨット作りは考えてみると全て私の船のためだったのです。

昔は、最高峰の全ての物作りは 天皇の為の物を作るために居たのだそうです。
実にばかげていますが本当のことです。
未だにその亡霊を引きずっている物作りの世界もあります。
芸術の世界にさえそれはあるのです。

天皇がヨットをやらなくて良かった、
私は物作りに関してそんなことは考えたこともなかったのですが、
そういえば最初からヨット作りは自分のためだったのだと、
あらためて確認しました。

さあ一応今回の一仕事も終わったし、
自分の船を少し進めようかと思っています。

海の広場に戻る

homeに戻