2001/12/17 シーマンシップ

 なじみの深い言葉にスポーツマンシップというのがあります。
スポーツ大会などで「私たちはスポーツマンシップに則り正々堂々と戦うことを誓います」という宣誓を耳にします。

 あのスポーツマンシップという言葉とシーマンシップは全く別のものです。
シーマンシップというのは精神論抜きの全くのシーマンとしての海で生き残るための技術なのです。
日本では5分前の精神などと、
船では何でも5分前には次にする行動の準備をしておくという技術を精神論を持ち込むから怪しくなるのです。
あれは帆船の長い歴史から生まれた、
船では全て5分前に次の行動の準備を終わらせておくという技術です。

 舫結び(ボーラインノット)や巻き結び(クラブヒッチ)と同じように、
全ての船乗りとして体得していないといけない技術をシーマンシップと言います。
そこには精神論は一切は入り込む余地はありません。

 シーマンシップが身に付いていなければいくら精神的にまさっていようと海で生きていけるものではありません。
陸の上では技術がないからこれはやらない と避けて通ることもできます。
しかし、いったん海に出ると、
この技術はないから精神で乗り越えようなんて事はできないのです。
海上の変化は時々刻々シーマンシップを持っている人にも持っていない人にも、
同じように襲いかかります。

 自分にあった船を選ぶのも、
その船で自分の腕で乗り越えられる天候を選ぶのも、
全てがシーマンとしての技術なのです。

 ヨットは 一切の目的を持っていないお金儲けでない船です。
アマチュアだから海も少しは手加減してくれるかというとそんなものではありません。
海はアマチュアにもプロにも、
金持ちにも貧乏人にも、
良い船にも悪い船にも、
年寄りにも若者にも、
地位や名声がある人にも無名の人にも、
全く公平にその荒々しさや優しさを見せてくれます。

 だから素晴らしい。
シーマンシップを身につけて海に出ましょう。
先ずは舫結びから、リーフ(縮帆)の仕方から、
身につけないといけないシーマンシップは、
本で読んで海に出て海から教わりましょう。
畳の上の水練は全く役に立ちません。
体得するのがシーマンシップです。
精神論など何の役にも立ちません。
海で体得したシーマンシップが全てです。

海の広場に戻る

homeに戻