56 ヨットと車 (2002/04/03)

ちょっと無理がありますが、
誰でも知っている車と ほとんどの人が知らない普通のヨットを比べてみることにしました。

私の知っている二つの違いの羅列になるかもしれませんが、
ヨットを知らない人にとっては面白いかもしれません。



まず物から

車はほとんどの物が量産品です。
何もかも自作した車というのは昔はあったかもしれませんが今では見る事がありません。
ヨットは全て手作りというのもあります。
もちろん売っています。

でもほとんどのヨットはFRPの半量産品です。
車に比べると圧倒的に少ない生産なのでほとんど手作りと言っても良いでしょう。
値段は普通の人が扱える25フィート(7.5メートル)クラスだと高級国産車くらいの値段です。
車もヨットも上には切りがありません。
ヨットの方がずっと高いと思うが 車の高いのがどれ位するのか知りません。

車には車検が必要だし、
免許も必要です。
その点はヨットもエンジン付きになると同じです。
車庫証明のような物は不要だったのが、
今度の船検から必要になったようです。

車と同じように大きさや豪華さで色々区分されています。
性能は車ほど単一ではなく色々な物があります。

浮かんでいて帆を張れば進むような物ですが、
車のようにどれでも時速100キロくらいはでるという物ではなく相当な個体差があります。


入手方法

一つの簡単な入手法は、
出来合いのFRP艇をボートショーなどに行って気に入ったのを買う方法です。
浮かんで走らせないと性能は解りませんが、
夢はふくらみ楽しい買い方です。

ヨットのことなど何も解らない営業マンが、
思い切りこちらの要望にあった船だと薦めてくれるでしょう。
話を聞いて回ったらみんな自分の思いぴったりの船ばかりになるでしょう。

中古艇業者を訪ねてもほとんと結果は同じです。

そしてお金をもっていたら貴方はどれかを気に入って買うことになるかもしれません。
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もう一つはこんな船が欲しいのだがと言って設計者を訪ね、
自分のための船を今までの設計から見つけるか、
新しく自分のための船を設計してもらうかして、
その通りの物を造船所に造ってもらうやり方です。

何となく正式な家の発注に似ています。
最近の 工務店が受けてあっという間に出来てしまう 建て売り住宅ではない、
本物の家の昔ながらのやり方です。
車ではほとんどそんな買い方は出来ないと思います。

ヨットでも待ち時間とお金がかかるので今ではみんなFRPの量産艇の方に流れています。
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そしてもう一つヨットは世界中のヨット好きが自作している乗り物です。
日本にもY-メンズクラブやY-14クラブなど自作者の集まりが昔はありました。

今では個性的で声の小さい自作者達はバラバラに日本のあちこちで
小さくなって自分で自分のヨットを造っています。


そして運行

さてヨットを持ったら乗ってみるのですが、

まず皆さん免許は何の疑いもなく取るでしょう。
それが 車と違って免許を取ってもまるで乗れる技術は身に付かないのです。

たいてい買った人はその前に誰かに乗せてもらった経験がある人でしょう。
そしてその乗せてもらった人と同じように、
何も知らないまま 一年に数回乗り のヨットマンになります。

ヨット歴何十年などと豪語していても、
基本の基本さえも出来ていないおじさん達がほとんどなのです。

特に熟年になって始めた人は
腕のあるヨット乗りのアドバイスはもらえないと覚悟しなければなりません。
本当に出来る人は語らないからです。
その年でそんな事している様では言っても無駄と切り捨てられます。

又初心者は 陸の考え方を持ち込んで、
海ではとても通用しないようなことを平気で港の中でやらかすのです。
外海でやったら一気に恐ろしい経験を出来ます。

もし口うるさい老練なヨット乗りが近くにいればありがたいことですが、
大抵は聞く耳持たない初心者と、
かわいそうだが仕方がないとあきらめる熟練ヨット乗りの関係になります。

ヨットは車のように誰に相談してもほぼ同じような答えが返ってくるようなものではないのです。

100人が100人違った経験を持っているのがヨットの運航です。
貴方が達人の1人になるには、
海から学ぶしかありません。

船長で何時間海を経験したかがその人の力量の目安です。
「舵」誌 1983/11〜1984/6まで連載した
横山晃さんの書いた「海で生き残る条件」参考になります。

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言い忘れるところでした、

メンテナンスや係留を業者に依頼することもあるでしょうが、
ヨットでは車ほどその方面が確立された世界ではありません。

業者選びも自己責任で、
業者がやったことを点検できる目を持っているかどうかも自己責任です。

海に出れば誰も助けてくれる人はいないのです、
車のようにちょっと路肩に寄せて、
修理屋さんを呼んでと言う様なことは出来ません。

ヨットは独立王国です。
オーナーは王様ですから責任も 苦しみも 喜びも 全て自分のものです。

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