64 やはりエポキシは夏(2002/11/05)

仕事がないので今の内にと最後に造ろうと思っていた自分の船に取りかかった。

それまで1年半ほど造りためていた部品としてのヨットのパーツを組み立てようと決心した。
9月半ばから後戻りは出来ない船台組にかかった。

これでほぼ1年は他の船の注文が来ても工場が自分の船でふさがるので、
仕事が出来ないことになった。

最初は船台を造り、
その上に今まで造りためてあったフレーム(あばら骨)を立て並べた。

船を反転させた状態で船体を仕上げる反転工法だ。
成立工法に比べて作業が非常に楽になる。

次はそのフレームにキール(脊椎動物の背骨になる竜骨)を乗せ 、
デッキとの接着部分のシアー材を取り付けた。

そのあたりまでは(10月の終わり頃)全く問題なく接着をすることが出来た。

ところが11月に入ったというように、
接着が不安になってきた。
気温が10度を割る朝が増えてきたのだ。

どのようになるかというと、
今までなら昨日クランプで挟んだり木ビスで止めたりして接着した物は、
翌朝にはあふれ出したエポキシに爪が立たないほどの硬化が見られたが、
11月に入ったというように、
朝ではまだ力を入れれば爪で壊せるほどの硬化しかしていない。

勿論20度24時間硬化なので、
まだ動かして良い時間ではないが、
初期硬化が大切なエポキシでは、
12時間後のその状態は不安になる。

外板を張り始めて3日目、
遂にバーナーをセットした。

吹き出し口が70センチ近くある工業用のバーナーで、
その吹き出し口からトタンの波板で作った筒を通して、
うつ伏せにした船内に熱風を送る装置を作った。

このバーナーは優れもので、
後付のセンサーとタイマーがあり、
温度を1度刻みで100度まで自由に保つことが出来る。

小指ほどの関知部分を何処にでも持っていくことが出来、
その部分での温度をコントロールできるのだ。

今は3層張る外板のうちの1層目なので、
フレームの隙間が多い、
暖かい空気が上に逃げてしまう。

それを防ぐために船全体を覆うブルーシートを、
外板張り作業が終わる夕方に船に被せて、
バーナーをセットして今日の仕事はおしまいと言うことになる。

夏の盛りなら全く不要な20度以上に温度を保つという作業が大切になる。

やっぱりエポキシ接着は夏にやるべきだなとつくづく思う。

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