71 新世代の木造ヨット(2003/02/21)  

「木造ヨット」と検索してみて出てきたところをみんな見てみた。

おどろいた
懐古趣味の骨董品を愛でる爺さんたちの集まりか?

私は純粋に性能の良い船、
もちろん強度も 走りも 耐用年数も ひっくるめてFRPの船よりはずっとましなものを造っているつもりで居た。
ところが作り手も買い手も大方の流れはステータスとしての木造船を目指している。

又は今までの木造船造船技術やリストアー技術の伝承を細々とやっていると言う感じを受ける。

木造船はザル船だろうと
こてこてのチーク船でニス塗りだろうと
とにかくFRPの様に型から毎日のようにぽんぽん脱型して出来上がるものではないので、
値段はFRP船よりは少し高くなる。

ではなぜ今更 昔のままの作りで すぐに腐ってしまう木造船を造るのか。
デッキが水漏れするような船はまず強度は10年でがた落ちである。

木造船造船所の陰謀か、
はたまたウエスト工法のなんたるかを知らないだけなのか?
wood(木)epoxy(エポキシ)saturation(しみ込ませる)technique(技法)の略です。

[しかし本当のウエスト工法の真髄は面と面が接する部分に付ける適当なサイズのエポキシパテフィレットにあります。
低粘度エポキシを塗料のようにごてごて木の表面に塗りつけて
ウエスト工法ですと言っている造船所は偽物です
] 
( 勘違いされてはいけないので付け足します 2/21)

[ウエスト工法は多分多くの人が勘違いしています。

最初読んで字のごとく、
wood(木)epoxy(エポキシ)saturation(しみ込ませる)technique(技法)と考えた人がほとんどでした。

ところが私が色々な木に低粘度エポキシを重ね塗りして、
硬化後に切断してみたら、
木口には10ミリばかり染み込んでいますが、
ふつうの木の表面にはペンキと同じくらいしか染み込んではいないのです。

それはそうですよね木の導管は上下には繋がっていますが、
横方向には細胞膜で区切られているはずですから・・・・

と言うことでsaturation(しみ込ませる)というのはどうも怪しいと思ったら、
このウエスト工法発明のゴージョンブラザーズという人たちが、
あれは命名の間違いだったとはっきり言っています。

確かに低粘度エポキシを木と水を切り離すために最初に染み込ませる(塗る)のではありますが、
それは今までのペンキやウレタンよりは少し食いつきが良くて、
水の進入をせき止める能力があると言うくらいの物です。

本当は今までにはなかったバルクヘッド固定部分や、
ハルとフレームの接合部分の角が出来たところに、
マイクロバルーンエポキシパテの大きなフィレット(補強の為のR)を付けることに、
ゴージョンブラザーズという人たちは重きを置いたのです。

海外では特に軽さ丈夫さを必要とするオーシャンゴーイングのマルチハル艇に多用されているようです。

と言うことでエポキシを多用し体を切り売りする(エポキシ硬化剤には強度の発ガン性があります。直接体に着けたりしてはいけません。また揮発物を吸引しないような活性炭入り吸収缶マスクをして使います)ようなウエスト工法の船は日本には萬丸以外には今は存在しないと言うことでしょうか。
私は他にまともなウエスト工法の船が浮いたという話を知りません。

萬丸は真冬に静岡から松山まで回航しましたが、
波の表面に白い泡をひくような荒れた海でも、
ミシリとも音はしないし、
ヒールしても風下ステーが緩むというような船体のねじれもありませんでした。
オーナーの橋本さんとともに今までの船にない不思議な感覚を味わいました。]
(ウエスト工法の話を萬丸掲示板より引用   2/24)



シェル構造の堅くて軽くて長持ちする船を造っているところは見あたらない。

しかしFRP より重量あたり丈夫で、
軽いのでよく走り、
しかもエポキシを使うので紫外線さえ遮れば耐用年数はFRP船より長い、
と言うのが新世代の木造船だ。

エポキシ使いの達人になれば
ビスやボルトなど一本も残さない接着だけの船は出来る。
ハードスポットがないのでギシギシ ミシミシという船がねじれるときに出る音がしない。

たぶんステータスとしての木造船よりずいぶん安い値段で、
個人で持つには最高級のヨットが出来るだろう。

その上を行く性能のヨットも造ってほしいと言われたらやれないことはない。
アメリカズカップのカーボンプリプレグ 工法の船だが、
設備費だけで同じ木造船を10艇くらいは造ることが出来るだろう。

作り手が居ない 買い手が居ないでは、
日本における木造船の歴史を塗り替えるのはまあ無理なことでしょう。

無理をを承知で最高級の木造船を造ることだけを目指してがんばった私は何だったのでしょう?

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