77 無寄港世界一周を目指す米子昭男さん(2003/07/25)
何とも凄い人が居たものです。
片腕で大西洋 太平洋と横断してただ一人フランスから日本まで帆走した米子昭男さんです。
今度は無寄港世界一周に挑戦するそうです。
先の航海で「植村直己冒険賞を受賞」して充分その冒険性は評価されたはずなのに、
まだその先を考えていたとは恐れ入ります。
どんな人かというと、
ごく普通の面白いおじさんです。
考え方は合理的で、
やろうと思った事は速実行すると言う人です。
片腕がないのは若いときに遠洋を走る漁船に乗っていて大きな巻き上げドラムに腕を挟まれて、
ヘリコプターで陸に運ばれ、
病院で気が付いたら片腕になっていたそうです。
でも片腕だと言う事を全く感じさせないくらい何でも普通にこなします。
車も二種免許を持っているそうです。
8月2日出帆予定だというのにウインドベーンが取り付いていなくて、
昨日は仕事として私がウインドベーンを取り付けに行きました。
朝のしとしと雨が嘘のように晴れ上がり、
湿度100%の炎天下10時間もかかってウインドベーンを取り付けました。
ウインドベーンとは
空中翼や水中翼を組み合わせ、
風の角度に合わせて船を風向に対して一定の角度に保たせるようにする自動操舵装置の事です。
外洋を走る船の強い味方です。
文句は言わない、
食事は摂らない、
酒は飲まない、
一日24時間 働き続けても平気、
と言う優れた舵引きです。
動力は風と船の推進力によって発生する海水の流れです。
無限と言って良いでしょう。
たいていの長距離航海者は
このウインドベーンという人間より上手に休まないで舵を取る機械に敬意を表して 、
あだ名を付けたりします。
それと壮行会や飲み会にまともにつき合うので、
米子さんはくたくたに疲れている様子でした。
無寄港世界一周などはまさにマスコミにとっては格好の取材対象です。
普通は何か奇抜な事をしたというピークがあり、
それから1週間くらいが賞味期限で、
その後はマスコミの取材もだんだん無くなります。
ところが米子さんの場合ヨットの出航というピークに向かって 取材されるのですから、
出航前の今の一番忙しい時期に取材の方もピークを迎えるわけです。
気の毒なのは米子さんの真面目な性格です。
どんな取材にもまともに応対しているので肝心の出航準備が進みません。
仕方がないから出航して伴走船がみんな居なくなったら、
豊後水道入り口の 沖の島 当たりにアンカーリングして一晩ぐっすり眠って
やり残した事をやり終えて体調を整えてから出航したら良いでしょうと言っておきました。