80 外洋帆走中の珍経験-6(背中が血だらけ)(2003/10/03)

とんでもない珍経験を思い出した。

4ヶ月風呂に入らないとどうなるか?

おそらく経験のある人は少ないでしょう。

段ボールハウスの住人に聞いてみるのも良いかも知れないが、
インターネットをしている人で段ボールハウスに住んでいる友人を持っている人は少ないと思うので 、
昔の航海で経験した私の場合をお知らせします。

条件は真冬で寒くて外で水浴びも出来ない、
船内でも寒くて湯を沸かして体を拭くことも出来ない、

FRPの船に大時化続きの中ずっと濡れた状態で、

時々下着を取り替えるだけで、

服を何枚も着込んだ上に羽毛服を着て過ごした場合です。


過酷な航海の後一度も体を洗わないでサンフランシスコに上陸しました。

最初にやったことは、
とにかく温かいシャワーを浴びて綺麗な体になることでした。

ところが石けんで何度も何度も 体を洗うのに 泡が立たないのです。

やっと 5 6 回目のアカ擦りで泡が立つようになったのですが、

体のあちこちがチクチクと痛いのです。

特に見えない背中の方にチクチク ひりひりが集中している。

まあ垢を擦りすぎて痛いのだろうくらいに思っていました。

その夜は疲れていたのでそのまま下着を着替えて眠ってしまいました。

翌日背中が痛がゆくてたまらないので、
シャツをぬいで びっくり、
小さい血の点々がいっぱい付いて居るではありませんか。


慌てて体をねじったり鏡を使って背中を見ると、
黒い3ミリくらいの円があちこちに沢山描かれているのです。

なんだこれはと思って爪でひっかくと、
チカッと痛みが走り黒い丸がよじれた毛になりました。

そしてその部分にポチンと赤い血がにじんだのです。

黒い円は体毛だったのです。

長く風呂に入らないと垢が体の表面を覆い、
体毛が生えてこられないので、
体とアカの間でくるくると小さい円になって 出口を探しながら伸びたようです。

そして結局 アカを突き破ることが出来なくて毛の先は体の中に向かって伸びた様です。

その一つをゆっくりと観察しながら引っ張って今説明した体毛の様子を理解するまで、
まさかそんなことが有ろうとは考えもしませんでした。

これも外洋帆走からの珍経験の一つではあります。

「お風呂の嫌いな子供たちよ!
お母さんに言われなくてもちゃんとお風呂に入って早く寝ないと、
シャツが真っ赤になるぞ」

と脅してやってください

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