91 マリンレジャー(2004/05/25)
30年近くヨット関係の仕事をしてきてつくづくヨットは日本に向かないレジャーだと思う。
先ず第一に日本の仕事の仕方として長期休暇が取りにくい。
自営業の人でもみんなが働くから毎日働くという人が多いメダカ社会。
船足が遅く行動は風頼み 予定が立ちにくいヨットではそれに割ける時間は長い方が良いに決まっている。
だからマリンレジャーの中でもヨットは日本の社会にとって一番取っつきにくい遊びである。
商売としてマリンレジャーを考えるとき、
景気の浮き沈みを考えない訳にはいかない。
ほぼ10年くらいの周期で景気は変動するようだが、
マリンレジャーの場合浮上するのが一番遅くて、
不景気の影響は一番先に受ける業種である。
景気によって極端に変動する業界なので、
コンスタントに業績や技術を積み上げ後継者を育てることが出来ない。
生活全体を見たとき、
衣食住が最優先で それらが満ち足りてもう何もかも揃ったという時点で、
それが好きな人はマリンレジャーの方に動くようだ。
多くの人はマリンレジャーなど見向きもしないでより主体性のない他力本願の遊びの方が好きなようである。
今この長引く大不況の中で 特にヨット遊びをしている人は(持っているだけで乗っていない人は除いて)筋金入りのヨット乗りだと思う。
大抵はさしたるお金持ちでもない普通の人である。
バブルに踊って 赤信号みんなで渡れば怖くないとばかりに大型ヨットをグループで買ったような人たちは大抵手放したくても売れないで置き場代だけがかさむ大きな船をもてあましている。
何処のマリーナもそんな放置されたようなヨットやモーターボートが沢山ある。
売り買いは私の商売ではないが大型艇は手放したくても買い手も居らず今が最安値ではないかという話はよく耳にする。
マリンレジャーに関する業界は、
モーターボートやヨットやその他物造り。
それらを売買する。
それらの物を預かるマリーナ業界。
それらを整備したり修理する業者。
乗り方を教える教室。
その他細々とした分野に別れるが日本ではどれ一つとしてまともに成り立っていないのが現状です。
出来上がっていないところに景気がよいときには多人数が押し寄せ、
不満足な結果を多くの人が味わい、
景気が悪くなれば蜘蛛の子を散らすように誰も寄りつかなくなる。
こんな事の繰り返しではマリンレジャーに関する業界が伸びる訳がない。
日本人の民度にあった政府であるように、
日本人の民度にあったマリン業界しか育たないようです。
そのような日本での逆境の中 蛮勇をふるって一個人の海好きとして果敢にヨットに乗って楽しんでいる本物のヨット乗りに、
あなた達が未来の日本を動かす原動力になるのです。
大いに遊びましょうと言いたい。