92 外洋帆走中の珍経験-7(泡に浮力は無い)

友人のホームページに水泳が達者で若くて体力が有った時は少々荒れた海で泳いでも全く不安はなかったが・・・
と言う話が出てきた。

神奈川県茅ヶ崎の烏帽子岩まで泳いでいくというのは普通で、
台風の時でも波がありサーフィンが出来てかえって面白いというくらいの水泳達者な人です。

処が死ぬほど怖い思いをしたそうです。

崩れた波に飲み込まれたら全く浮力が無くなり水の抵抗もなく泳げないのだそうです。

 

 

それを読んで冬の北太平洋で大時化の中 崩れ波にヨットが巻き込まれたときのことを思い出しました。

私がコクピットに出て舵を握り追っ手ストームジブ一枚で走っていたときの事です。
斜め後方から巨大な水の塊が丁度ヨットに被さるように崩れかかってきました。

一気にストーンとヨットが水面から水の中に引き込まれた感覚がありました。
エレベーターよりも一気に落ちる感覚です。
そして一瞬嵐が去り無風の状態が現れたのです。

後から考えての話ですが、

荒れる海面に泡の穴ぼこが出来た状態だったのだと思います。
随分長い時間に感じられましたがきっと一瞬だったのでしょう。
泡には浮力がないのでその穴ぼこの底までヨットは引き込まれました。

それでも私は呼吸をする必要があったと見えて海水の泡の中で呼吸をし、
肺に海水を吸い込んで思いきり咳き込みました。

そして水だからこそ浮力があるが泡には全く浮力はないと言うことを体感したのでした。

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