98 業者の目から見たヨットの世界 (2005/01/23)

どの業種でもそんな物かもしれないと思うが、
ヨットの世界ではプロとアマチュアのヨット認識差が非常に大きい。

バイヤーでもビルダーでも一応プロと言われる人たちは良いにしろ悪いにしろアマチュアの人たちより格段にヨット業界に長くいる人々だ。

ヨットに乗るのと同じで10年乗っています20年ヨットをやっていますと言っても、
アマチュアは普通毎日曜日8時間帆走したとしても、
とても船に乗る事を仕事にしている船乗りの乗艇時間には及ばない。

乗り方の内容にもよるが毎日船に乗っている船乗りの方が海を格段に知っていると思ってほぼ間違いない。


同じようにヨットバイヤーは船価や船の善し悪しや部品や地域のマリーナ事情について素人の出る幕ではないよく知っている。

ヨットビルダーも限られた自分の時間でどのような船をどのように造る事が出来るか(口ではどう言おうと自分の造船の腕も知り尽くしているはずだ)
それについては一艇や二艇作っておしまいのアマチュアビルダーより格段に上だ。
まして今からヨットの世界に入ってこようと言う人などは赤子同然だ(情報が少なすぎる)。

あまりにプロとアマの格差がありすぎるから、
始めてヨットの世界に足を踏み込んだ人はどんな業者を頼りにして良いか、
信頼置ける業者かどうか相手を測りかねている様に思える(まあ海千山千の業者が多いから構えてかかるのも当然かもしれない)。

社会的に地位も名誉もある人が始めてヨットの世界に足を踏み込むとき余りに卑屈に業者を持ち上げるのも問題である。

地位や名声名誉や金やその人の持つ有りとあらゆる物が無になる自然相手の海の上ならいざ知らず、
ヨット業者相手に金を払う人がヨットの知識が皆無だと言うだけの事で小さくなっている必要はないだろう。

知らない事は知らないとはっきり言える事、
訳のわからない専門用語を使われたらそれはどういう意味だと聞き返す事、
(本当にヨットを理解している人は素人にも専門用語を使わないでヨットの話をする事が出来る)
見積をもらったらどうしてそうなるのかと内容を質問する事、

そんな当たり前の事を陸上で普通の社会生活で遠慮してはいけない。

もちろん相手の知識に対して対価を払うと言う姿勢も忘れないで欲しい。


外国のヨット界をそんなに知っているわけではないが、
余りに成熟度の低い日本のヨット界では、

内容の割にべらぼうに高額の仕事が発注されたり、
とてつもなくきちんとした良い仕事が安く値切られたり、

売り買いでも商売人は必ず儲けているはずだからと徹底的に値切ったり 、
右から左へ口利き料でよい売りを 何倍もの値段にしてみたり、

まともな業者がまともに仕事を出来ない、
真剣にヨットに取り組もうとしている人が良いカモにされる
そんな業界がヨットの世界なのです。


日本で唯一のヨットの雑誌「舵」誌もあまりにも部数が少なすぎて、
一般の人の目に触れる事はなく
ヨット業者と新しくヨットの世界に入りたい人の隙間を埋める役目を果たしては居ない。

まだまだ時間はかかるだろうが車社会のような成熟をヨットの世界にも望みたい。
そうなれば少なくとも荷物を運ぶトラックを買いたい人がスポーツカーを買わされるような事はなくなるだろう。

ヨットの世界に新規参入したい人
しっかり目を見開いて自分はどんなヨットライフを送りたいのかをはっきりさせ
そのためにはどんなヨットが適当なのかしっかり業者を選択してまともなヨットライフを送られる事を願っています。

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