211  WEST-2

Wood(木)Epoxy(エポキシ)Saturation(しみ込ませる)Technique(技法)の略です

日本ではウエスト工法と言います。

読んで字のごとく木にエポキシを染みこませる工法だとヨット乗りもビルダーも思っているようなので少し僕の知っていることをお話しします。

もちろん木と水を切り離すという意味で今までのウレタンやペイント塗とは違いエポキシの塗膜はなかなか水を通すものではありません。
純度の高いエポキシを使えば揮発分の穴がないので水を通さない膜が出来ますが, Saturation(しみ込ませる)と言っても木の表面には細胞膜がありそのままでは何も染みこみません。

水を通しにくい塗と言うくらいの物です。


ところがこのWESTを発明したGougeon Brothers,Inc.の本には

1---メインの接着と、

2---それに続くフィレット(Epoxy fillet)のことと、

3---エポキシ積層(Laminating)のことが主な主張です。

4---又 部品取り付けのボルトを木に接触させないやり方も丁寧に書かれています



中でもエポキシパテフィレット(低粘度エポキシとマイクロバルーンとアエロジルを撹拌して作るパテ)付けはWEST工法では今までにない最重要の要素です。

彼らは彼らが創造した発明の命名を誤ったとも言っています。


僕が今までに作った4艇のクルーザーと今作っているY15mark3はほとんどすべての接着角にフィレットを付けたWESTの船なのです。

日本では他にフィレットを多用した接着のヨットは見たことがありません。

木を接着するための木ビスやボルトナットは一切使用せず全てエポキシ接着とエポキシフィレットで船体が出来ています。

 

上の絵の外板に当たる部分をバイスで挟んでおいてバルクヘッドに当たる合板部分をハンマーで叩くと接着だけの時の何十倍もの強度で叩いても接着が剥がれることはありません。

思い切り衝撃を与えるとバルクヘッドの合板がフィレットが薄くなったところで絶えきれなくなり合板の材料破壊で壊れます。

そのくらいフィレット併用の接着は強度が出ます。


そんなに手間暇かけて作ったヨットはとにかく剛性が凄い。

軽くて硬くて歪まずまるでピンポン球です。

登りでヒールしても風下のリギンがほとんど緩まないほど船体が硬いのです。

FRPの船のように歪んで力をにがし元に戻って形を保つような構造の船は嵐になると歪まない船内造作とFRP船穀が擦れ合う音がギーギーと心臓に悪い音を立てます。
古い木ネジやリベットやボルトナットで船体を組み立てたような船も似たように今にも壊れそうな音がします。
船全体が歪んでいるのです。

ウエスト工法という言葉が入ってきてもう25年は経っているでしょう。
でもウエスト工法の船に接する機会はほとんど無いと言うのが日本の現状です。

WEST工法は読んで字の如くではなくて 今までより格段に剛性の高い木造船をエポキシ接着とフィレットつけで作る技術のことなのです。


 興味のある方は 「海の広場」 84 ウエスト工法 も読んでみて下さい

海の広場に戻る

homeに戻る