70 ヨット乗りの腕(2003/02/11)

物を計るにはメジャーが必要である。

ヨット乗りとしての腕は さて何で計ればよいのだろう。
ヨット乗りにも色々ありその腕を測るメジャーにも色々ありそうだ。

相手が居て同じタイプの船で競争して早いとか遅いとか、
そんな場合は早いほうが腕が良いというらしい。

船同士が衝突しそうだとしても避けたりしてはいけないので、
しょっちゅうぶつけて修理をしている。

相手が風を拾えないように風上から被せて邪魔をするというのはルール違反ではない。
要するに救助艇に守られて海など見ていない、
とにかく相手を負かして先に走ればよいのである。

私はそんなのがヨットだとは思えないのでヨット部には入らなかった。
私が考えるヨットとはほど遠い所にあるのが セーリングボートのレースだ。


ではクルーザーではどうかというと、
やはり レースが好きなおじさんたちは居る。
何でも良いから人と比べて自分の方が勝っていなくては気に入らない人たちだ。

それも確かにヨット乗りとしての腕が良いとか悪いとか言うときのメジャーとなる。

多くの人がレースで速く走る人のことをあの人は腕がよいと言う。



私は違うところにヨット乗りの腕を測るメジャーがもう一つあるように思う。

人と比べられないから非常に目立たない、
しかしこのメジャーこそがもっともヨット乗りとして大切な物を計っていると思う。

飛行機のパイロットのように機長としての飛行時間を持ってその人の腕を推し量る。
と言うのも一つの手ではありますが、

船長として単独長期帆走をした人でも殆ど何処にも入港していなくて、
出入港の一番腕を必要とする技が抜け落ちている人なども時には居ます。

私の考えるヨットは一人で扱える範囲で、
しかもどこまでもクルージングが出来る船、
そう考えると毎日出入港を繰り返している一人又は夫婦で乗る漁船に近いですね。

彼らの操船は港の中しか知りませんがそれは上手です。

やっぱり「習うより慣れよ」で
顔を洗ったりご飯を食べたり歯を磨いたり何も考えないで日頃やっていることも、
最初は親に習い習慣となって慣れたから上手に出来ることです。

出来るだけ多く出航し、
出来るだけ長く海や空を見つめて帆走し、
無事入港すると言うことの繰り返しがヨット乗りの腕を上げるための訓練だと思います。

どちらが風上か海面のさざ波で判断出来るようになるまで海面を見ましょう。
風に合わせる出入港の練習をしましょう。
どんなにパワーのあるエンジンも風の力にはかないません。
風向によって毎回舫ロープを取る順序 ほどく順序は 違うのです。

腕を上げて安全運行でヨットを楽しみましょう。

煩雑で難解で奥深い物ほど面白いと思いませんか。

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