87 32フィートガフケッチ「3」(2004/02/19)

仕事の合間にトータル一年半かけて作り貯めていた部品を、
プラモデルのように組み立てはじめてもう一年半が過ぎた。

一年で組み上げる予定だったがいくら不況とは言え仕事も少しは入った。
その他の野暮用も重なりもう半年も進水が遅れている。

その間銀行の貸し剥がしや、
国民金融公庫の事なかれ主義も経験した。

人と人の顔の見えるおつき合いなどというのはいくらきちんと金利を払っていても、
世の中の流れが変われば無かったも同然になるものだ。
看板を背負って仕事をしているそれだけの相手ではまあ仕方がない事かも知れない。

もうそろそろ仕事も引き時だ。
自分の船が出来上がったら出航まで仕事どころではなくなるだろう。

船体は何もなければ後2ヶ月くらいで出来上がるだろう。

そしてメインマストとミズンマストの接着がある。
これは暖かくなって、
梅雨に入らない少しの間に何とかしようと思っている。

仕事を辞めてどうやって食べていくのと言う質問を受ける。
自営で仕事をしているとランニングコストだけでバカにならない。

今みたいに仕事がないときは自営業は何処とも大変だろうと思う。

普通世間一般の人が食べていくというのは、
近所づきあいや、
不動産の維持管理、
水道光熱費、
ありとあらゆるものを含めた生活にかかる全てのお金をどうやって手に入れるのと言う質問だ。

ヨットの生活は食費のみ考えればよい。
以前の航海では一人だったが一ヶ月2万円も使っていなかった。
別に節制した訳でも腹を空かしていた訳でもない。
食費しかも材料費のみだ。
日本が一番高い、

まして二人ならもっと割安だろう。

船の維持管理は自分でやるから船底塗料の材料代と年に一度の上架料くらいのものだ。
そのくらいの金がアルバイトでも何でも手に入らないような歳になったら航海は辞めようと思う。

たぶん70歳くらいまでは大丈夫だろう。

今私は航海をやることが出来る立場にある。

そしてそれのみを願って全てを32フィートガフケッチのために傾注してきた。

状況が変わらない限り進水したら3年をかけて日本を周りシェークダウンをする。
でっぱなしではない、
天候を見て何度にも分けて少しずつあっちにもこっちにも行ってみたい。
北海道にも横浜にも小笠原にも大阪にも広島にも沖縄にも 待っていてくれる友人が居る。

その後は世界に出ていくつもりだ。
クルージングヨットにとって世界は いかにも広い。

32フィートガフケッチ」 自分で作った船が、
どのくらい通用するのか実際に確かめてみたいと思う。

まだ出来上がっていないのに最近よく航海について考えるようになった。

出航したらそれまでだが、
出航するまであれこれ考え思い悩むのは実にワクワクする。

そこまでで終われば船底に藻やフジツボを養殖する9999/10000人のヨット乗り、
一歩踏み出してしまえば1/10000の経験者となる。


百聞は一見に如かず、

しかも難しいと思うことも 習うより慣れよ で出航すれば体も心もそれなりに海にマッチしてくる。
船さえ日本就航のシェークダウンで仕上げれば 後は世界中何処へでも行けると思う。

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